Microsoftの2016年2月の月例パッチは、「緊急」のセキュリティ情報こそ比較的少ないものの、サポート対象の全バージョンのWindowsに影響があるという点で影響範囲が大きい。
同社は、「Windows Vista」以降のすべてのWindowsユーザー(「Windows 10」を含む)に対して、特定のファイルの処理方法に存在する深刻なセキュリティホールが悪用されるのを防ぐため、ただちにパッチを適用すべきだと述べている。
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この「緊急」の脆弱性(MS16-013)が悪用されると、攻撃者はログインしているユーザーの権限で任意のコードを実行することができる。管理者アカウントを使用している場合、リスクは高まる。この脆弱性を悪用するには、攻撃者はユーザーを誘導して特別に細工されたジャーナルファイルを開かせる必要があるが、これに成功した場合、ユーザーはプログラムの実行、データの削除、完全なユーザー権限を持つ新規アカウントの作成などの被害を受ける可能性がある。
「Windows Server 2016 Tech Preview 4」もこの脆弱性の影響を受けるため、パッチの適用が必要となる。ただし幸いなことに、Microsoftによれば、このセキュリティホールを悪用した攻撃は確認されていないという。
同社はほかにも、WindowsやOfficeを対象とした緊急のセキュリティ情報を3件リリースしている。
MS16-012の脆弱性は、ユーザーが「Windows Reader」で特別に細工されたファイルを開くと、攻撃者に対象システムで任意のコードを実行される可能性があるというものだ。影響を受けるのは、主に「Windows 8.1」とWindows 10のユーザーだという。このセキュリティホールはMicrosoftに非公開で報告されたもので、攻撃者による悪用事例はまだないと考えられている。
MS16-015は、「Microsoft Office」に存在するメモリ破損などの多数の脆弱性を修正するものだ。ユーザーが特別に細工されたMicrosoft Officeファイルを開くと、攻撃者にリモートから任意のコードを実行される可能性がある。攻撃に成功した場合、攻撃者はログインしているユーザーと同じ特権を得る可能性がある。このセキュリティ情報に含まれる脆弱性は、1件の例外を除いては非公開で報告されている。例外は「SharePoint」に存在するクロスサイトスクリプティングのセキュリティホールで、この問題についてはすでに公に情報開示されている。
MS16-022では、Windows 8.1以降の全Windowsの「Adobe Flash Player」に存在する10件以上の脆弱性を修正している。
また、今月の月例パッチにも、これまで同様「Internet Explorer」と「Microsoft Edge」に対する累積的なパッチが含まれている(MS16-009およびMS16-011)。
これらのブラウザに関する脆弱性は、すべてMicrosoftに非公開で報告されており、攻撃者による悪用事例はまだないと見られている。
Microsoftは、他にも7件のセキュリティ情報(MS16-014、MS16-016、MS16-017、MS16-018、MS16-019、MS16-020、MS16-021)をリリースしている。これらは、特権昇格やサービス拒否などの、深刻度が「重要」のセキュリティホールを修正するものだ。
2月の月例パッチは、通常のアップデート方法で提供される。

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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。