EMCジャパンは2月15日、すべてをソリッドステートドライブ(SSD)で構成されるスケールアウト型ブロックストレージ「XtremIO」について、ユーザーの導入状況を説明した。ユーザーは、設置スペースと消費電力を削減できることや運用の容易さ、性能が安定している点などを評価しているという。説明会では、ユーザーとしてクラウド事業者のIDCフロンティアが登壇し、XtremIOの導入経緯や検証時のベンチマーク値などを振り返った。
XtremIOは、台数を増やすことで性能と容量を拡張できるスケールアウト型のブロックストレージ。構成単位となるユニット「X-Brick」は、コントローラ2台と25個のSSDで成り立つ。これをInfiniBandでインターコネクト接続する。コントローラはメモリ共有型のクラスタ構成で動作し、最大16ノード(X-Brick×8台)まで拡張できる。秒間のI/O性能(IOPS)は、仮想環境の典型的な使い方(70%リード、30%ライト)の場合、X-Brick×1台で15万、X-Brick×16台で200万という。
既存のストレージと比較したXtremIOの効果を実際にユーザーの声が大きいものから順にEMCジャパンは4つ挙げる。第1に、設置スペースが85%減る。第2に、消費電力が80%減る。第3に、運用が容易になる。従来は数日を要した設定が数分で終わる。ボリューム名と容量を設定するだけで使える。第4に、性能が常に一定であり続ける。
EMCジャパンが挙げる、既存のストレージと比較したXtremIOの効果。実際にユーザーの声が大きいものから順に4つ紹介した
性能が常に一定であり続ける点については、特に強くアピールする。ストレージアクセスの遅延時間(レイテンシ)が常に一定で、急激にレスポンスが悪化するスパイクが起こらないという。シンプロビジョニングの実装では、細かなブロック単位に分割して分散して書き込むことで、SSDに特有のガベージコレクション(空き領域の回収処理)を不要にしている。これにより、ガベージコレクションによるレイテンシの悪化が起こらない。また、インラインの重複排除と圧縮によって、SSDへのデータ書き込みを最小限に抑えている。
IDCフロンティア カスタマーサービス本部 プラットフォームサービス部 クラウドグループ 金井崇氏
説明会の後半では、XtremIOのユーザーとしてIDCフロンティアが登壇し、XtremIOの導入経緯とベンチマーク値について、あらためて説明した。同社はIaaSクラウド「IDCFクラウド」の西日本リージョンをオールフラッシュ構成とすることを2015年11月に発表しており、この時にXtremIOの導入経緯やベンチマーク値を説明している。西日本リージョンに次いで東日本リージョンでもXtremIOの採用が決まっており、近日リリースするという。
IDCフロンティアは2011年にストレージ「EMC VNX」と自動階層化機能「FAST VP」を採用したが、2014年頃からユーザーの声として「データがSSDからハードディスクに移るとアクセスが遅くなる。階層化は自動化されており、ユーザーからは制御できない」という不満が挙がっていた。「クラウドサービスに自動階層化ストレージは適さないことが分かった」(IDCフロンティア カスタマーサービス本部 プラットフォームサービス部 クラウドグループの金井崇氏)。このことからオールフラッシュへと舵を切った。
オールフラッシュのストレージ選びでは、コントローラのソフトウェアの良さなど総合的な判断から、XtremIOに決めた。まず大前提として、最重要の要件であった、APIレベルでVMwareの環境と連携する「VAAI(vStorage APIs for Array Integration)」を介した仮想マシンのコピー時間が一定時間を下回るストレージを合格とした。あとは、レイテンシの安定性などトータルの性能でXtremIOを採用した。「XtremIOは、12時間高負荷をかけ続けてもレイテンシが変わらず一定だった」(金井氏)
IDCフロンティアは、複数のオールフラッシュストレージを実際に触って、IaaSクラウドに採用するストレージを選定した