分社によって誕生したHewlett Packard Enterprise(HPE)は、Hewlett-Packard(HP)時代よりもストレージ市場に、特に企業への普及の進展とともにフラッシュストレージ市場に注力しようとしている。
4年前、フラッシュストレージ市場のどこを見渡してもHPの姿はなかったが、HPEのアジア太平洋および日本地域のストレージ部門を率いるPhil Davis氏によると、調査会社IDCの2015年第2四半期におけるデータではHPが世界のフラッシュ市場で第2位に付けていたという。
Davis氏は米ZDNetに対して、IDCなどのデータを見れば、HPが同分野に対して重点的に投資してきている事実が裏付けられると述べた。
例を挙げると、同社は2015年にオールフラッシュストレージをベースした最新のストレージアレイ製品群「3PAR StoreServ Storage」ファミリを市場に投入した際、1Gバイト当たりのコストが1.5ドルになると述べていた。つまり、2014年のフラッシュアレイ製品発表時に述べていた2ドルからさらなるコストダウンが達成されたというわけだ。
Davis氏は、2015年11月に完了した分社化の後も、ストレージ分野における成長戦略の手を緩めることはないと付け加えた。従来型のハイエンドかつモノリシックなストレージ市場が2桁台で縮小し、中規模ストレージ市場が成長している点を考えると、うなずける話だ。
同氏は「現在では、フラッシュストレージが最大かつ最も手応えのあるトレンドと言えるだろう」と述べるとともに、「その市場は巨大であり、ものすごい速度で成長している」と述べた。
Davis氏によると、アジア太平洋地域ではオーストラリアとニュージーランドでフラッシュストレージの採用が進んでおり、日本やシンガポール、香港でも普及が始まっているという。同氏は2016年もこのトレンドが顕著になっていくと予想している。
Davis氏によると、ストレージ市場におけるフラッシュのこういった成長は、顧客の全体的な需要の高まりを受けた結果だという。
「フラッシュをけん引する最大の力は、コンシューマー市場全体と、フラッシュがユビキタスなものになったという事実から生み出されている。これによって、至るところでフラッシュの需要が生み出され、製造コストの低下につながっていった。その結果、企業向けのフラッシュストレージ市場が拡大している」(Davis氏)
Davis氏は、フラッシュストレージの価格低下が今後も進んでいき、従来のハードディスクよりも「より安価で、より高性能で、より高速」というレベルに達するため、HPEなどのベンダーは向こう6カ月でハードディスクよりも多くのフラッシュアレイを出荷するようになると予想している。