連載5回目となる今回は、アプリケーション配信基盤「ビジネス向けWindowsストア」の後編として、実際に簡単なユニバーサルWindowsアプリを作成し、ストアへの公開や企業内プライベートストアに登録するまでのプロセスを紹介する。
企業内アプリとビジネス向けWindowsストア
前回の「企業内プライベートWindowsストア活用のすすめ(前編)」では、パブリックなWindowsストアに公開されているアプリの中からいくつかビジネス向けWindowsストアに登録し、企業内のプライベートストアを構築する手順を解説した。いわば「アプリのセレクトショップ」を企業内に開設できることがお分かりいただけただろう。
組織の専用ストア「プライベートストア」
では、企業の内製アプリやパブリックなWindowsストアで非公開(プライベート配信)のアプリの場合はどのようにして配布するのかというと、それもビジネス向けWindowsストアからできるようになっている。もちろん、Windows 8/8.1時代と同じく、Windows 10でもアプリをサイドローディング(ストアを介さずに直接配布)することも可能だが、ビジネス向けWindowsストアを配布基盤に使うことで、よりセキュアで安全に展開できる。
今回は、ビジネス向けWindowsストアに特定の企業向けのLOB(基幹業務)を登録し、プライベート配信するシナリオを想定して解説する。
ビジネス向けWindowsストア利用の流れとメリット
LOBアプリをビジネス向けWindowsストアで配布するまでの大まかな流れは次の通り。
- アプリ開発者がWindowsストアに「特定の企業向け」としてアプリを登録する。
- 登録が完了したアプリを、ビジネス向けWindowsストアの管理者が在庫として登録する
- 各ユーザーが端末にアプリを導入する
企業内製LOBアプリの登録から展開の流れ
アプリをWindowsストアから配布することには、サイドローディングで配布することと比べて、いくつかのメリットがある。
- セキュアである。後述するが、アプリをストアに申請した際にセキュリティテストが実施される。このためWindowsストアから導入したアプリは安全が保障される
- 配布そのものが簡単。ストアからセルフサービスでアプリをインストールできるため、サイドローディングに比べて配布する側の手間が少ない
- アプリを自動更新できる。アプリの更新版が登録された際に、各端末のアプリを自動的に更新する機能を備える
ビジネス向けWindowsストアからLOBアプリをプライベート配信するためには、アプリ登録時に「特定の企業向け」とするだけであり、ストアに登録するプロセス自体は公開アプリと同じである。このため、パブリックなWindowsストアで公開されるアプリと同様に、LOBアプリであっても上記のメリットを受けることができるのだ。
次に、具体的にLOBアプリをビジネス向けWindowsストアに登録する手順を見ていこう。