ユニバーサルWindowsアプリとWindows Bridge
前編でも説明したように、さまざまなWindows 10デバイスで単一のアプリ動作基盤を提供する技術を「Universal Windows Platform」、その上で動作するアプリを「ユニバーサルWindowsアプリ(UWPアプリ)」という。UWPアプリはフルスクラッチで開発することももちろん可能であるが、既存のアプリプラットフォーム向けにUWPアプリに移行できる仕組みも提供(一部開発中)している。この仕組みを「Windows Bridge」という。
Windows Bridgeには、既存のプラットフォーム別に次の4種類がある。
- Windows Bridge for Webアプリ
- Windows Bridge for Classic Windowsアプリ
- Windows Bridge for Android
- Windows Bridge for iOS
各Windows Bridgeの詳細については、ウェブページの情報(Windows Bridge の紹介 )を参照してもらいたい。ここでは、Windows Bridge for Webアプリを例に取り上げる。
Windows Bridge
Windows Bridge for Webアプリを使いノンコーディングでアプリ作成
Windows Bridge for Webアプリを使用すると、いくつかの設定を施すだけで、一切のコードを書かずに既存のウェブアプリをUWPアプリ化することが可能である。具体的には、無料のオンラインアプリ作成ツール「Windows App Studio」を利用する(もちろん、開発ツールである Visual Studio でも既存ウェブアプリの UWP アプリ化は可能である)。
App Studioによるアプリ作成
手順はとても簡単だ。App Studioのプロジェクト作成時にテンプレートとして「Hosted Web App」を選択し、既存ウェブアプリのURLを設定画面に入力するだけで、そのアプリはUWPアプリ化される。あとは、アイコン画像などのいくつかの設定をしていけば、アプリのソースコード一式とWindowsストアに登録可能なパッケージがダウンロードできるようになる。ソースの修正が必要でなければ、これでUWPアプリの作成は完了だ。
App Studioによる既存ウェブサイトのUWPのアプリ化
ソースを修正した場合の手順(アプリモジュール再構築に必要なVisual Studioのインストール方法)や、Visual Studioを使用して既存ウェブアプリをUWPアプリ化する手順については、公式ブログ記事に記述してあるので、参照してほしい(「ユニバーサル アプリの開発環境を準備する」「Windows Bridgeを使ってノンコーディングでユニバーサルアプリを作る」)。
ウェブアプリをUWPアプリ化することのメリット
ノンコーディングでUWPアプリを作成できるのは便利だが、そのままではブラウザ上でウェブアプリを動作させることと大差がないように感じるかもしれない。
UWPアプリの大きなメリットは、HTML、JavaScript、CSSといったウェブ技術で、CortanaやカメラなどWindowsのネイティブ機能を利用することができる点である。ウェブサーバー上にホストされたウェブアプリについても、Windows機能へのアクセス許可を設定しておけば、同様にネイティブ機能を利用できる。これまではInternet Explorer上のActiveXでしか実現できなかった機能が、HTML5で記述/構築されたサイトにおいても実現できるのである。
例えば、デバイスの背面カメラから書類をスキャンするなどの機能をActiveXなしで組み込むことが可能になるのである(しかも、UWPアプリとして実行した場合にしか該当機能は処理されない)。
UWP アプリを構築する技術
まとめ
今回は、ビジネス向けWindowsストアで企業内製アプリを配布する方法と、簡単にUWPアプリを作成する方法を紹介した。ぜひ、ビジネス向けWindowsストアをお試しいただき、既存のデスクトップアプリやウェブアプリを含め、企業内製アプリのUWPアプリ化にも取り組んでいただきたい。
- 東條敏夫
- 某自動車会社担当のプリセールス エンジニアとして、2007 年に日本マイクロソフト入社。現在はクラウド&ソリューションビジネス統括本部にて、法人向け Windows クライアント OS 担当のプリセールス エンジニアとして活動している。