データセンターのコンポーネントや設計のさらなる効率化と相互運用性を追求するためのエンジニアリングコミュニティー「Open Compute Project(OCP)」が、カリフォルニア州サンノゼで米国時間3月9〜10日にかけて「OCP U.S. Summit 2016」を開催している。同コミュニティーは5年近くに及ぶ歴史においていくつかの華々しい成果を上げているが、その真価は関連分野に及ぼしてきた影響にある。
OCPは2011年4月、Facebookが自社データセンターの設計を公開するとともに始めた取り組みだ。OCPの成果という点に目を向けると、ハードウェアやベンダー、顧客についての会話に大きな変化を与えたことが同コミュニティーのもたらした最大の功績だという結論に達するはずだ。
以下は、OCPがもたらしたいくつかの成果だ。
- OCPは、データセンター分野におけるほとんどの大手企業が活発な対話を始めるきっかけを生み出した。
- Hewlett-Packard(HP)はホワイトボックス製品を求めるハイパースケールクラウドプロバイダーの声に応え、「Cloudline」という新たなサーバ製品群を発売した。
- OCPの取り組みが話題となった結果、企業のデータセンターにおいてソフトウェア定義ネットワーク(SDN)と、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)の普及が加速した。
- ハードウェアベンダーらはOCPや、Microsoftといった大手企業から得たヒントをもとに、自社のデータセンターを設計するようになった。
- OCPの支持企業や、主要参加企業において、ハイパフォーマンスコンピューティングに対する社内の取り組みが加速されるという副次的なメリットがもたらされた。
- OCPの考え方によって、1台の機器でネットワーク機能やストレージ、コンピューティングを担うというハイパーコンバージドシステムに向けた動きが触発された。
OCPの成果は他にもまだ数多く挙げられる。とは言うものの、OCPの取り組みと、現実の商業戦略との間に直接的な因果関係があると主張するのは少し無理があるかもしれない。実際のところ、試験的な取り組みという枠組みを超えてOCPの話題を積極的に語ろうとする企業幹部はそう多くない。その理由は、OCPが最も力を発揮するようなクラウド規模のデータセンターを運用している企業自体が少ないためだろう。