同氏は午前3時にホテルの全部屋の照明を最大に明るくして、カーテンを全開にするという誘惑に打ち勝った。また、「614号室の鍵を開ける」ことが可能かどうかを調べることもしなかった。もちろん、鍵の制御は、別のより安全なシステムで行われていたはずだ。…そう思うことにしよう。
同じ種類の、しかしはるかに馬鹿馬鹿しいエピソードに、最近NPRが報じた、「Amazon Echo」がこのデバイスのデフォルトの起動ワード「Alexa」が放送で流れたときに反応してしまったというエピソードがある。
Echoの起動ワードはプログラム可能にすべきだろうか?筆者や同僚の米ZDNet記者であるDavid Gewirtz氏はそう考えている。
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これらのエピソードの共通点は何だろうか。どちらのケースでも、モノのインターネット(IoT)デバイスの初期モデルが、セキュリティと言えるほどのものをまったく持っていないことを示した。
たしかにGarrett氏はセキュリティのプロだったが、プロとしてのスキルは必要なかった。ネットワークにある程度以上詳しい人であれば、誰でも同じことができただろう。Echoのエピソードに至っては、デバイスが自分からハッキングされたと言っていい。
これらは最新の事例に過ぎず、IoTのセキュリティに関する事件を挙げればきりがないほどだ。赤ん坊を監視するライブカメラの問題もあったし、日産の電気自動車「リーフ」がリモートからハッキングされたという問題もあった。
モノのインターネットに対する筆者の最初の印象は、スタートレックに登場した、あらゆる場所にコンピュータが組み込まれており、ただ空間に向かって話しかけるだけで何でもできる環境を思い起こさせる、クールなイメージだった。しかし現実はそれほど楽しいものではなかった。
米国家情報長官James Clapper氏は、最近、「最小限のセキュリティ要件しか持たずテストも不十分なまま設計され、導入されたデバイスと、複雑化し続けるネットワークは、民間のインフラと米国政府のシステムにおける脆弱性の拡大に繋がる可能性がある」と警告している。
最小限とはよく言ったものだ。実際には、われわれはすでにまったくセキュリティに配慮されていないIoTデバイスに囲まれて生活している。すぐに、それも明日ではなく今日、IoTデバイスに本物のセキュリティを義務づけない限り、社会はこれまで見たこともないような犯罪の波にさらされることになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。