Oracleは米国時間3月24日、新たなクラウドサービスである「Oracle Cloud at Customer」を発表した。このサービスでは、顧客のデータセンター内にクラウド環境を構築し、使用量に応じて課金される。
この新サービスは、プライバシーやセキュリティに関する規制に準拠しつつ、重要なアプリケーションをクラウドに移行したい企業をターゲットとしている。
Oracleにとって今回の取り組みは、ハイブリッドデータセンターというモデルを一捻りしたものであり、オンプレミスとXaaSへのシフトという双方を見据えたものとなっている。
このサービスはサブスクリプション形式で提供され、同社の課金サービスに準じた料金体系となっている。同社のうたい文句は、クラウドを顧客のもとにもたらすというものだ。なお、このサービスはOracleによって管理される。
Oracle Cloud Platform担当バイスプレジデントであるAmit Zavery氏によると、Oracleは顧客からの要望に基づき、同社のパブリックサービスを顧客のプライベートデータセンターにまで拡大するという、このアーキテクチャを考え出したのだという。同氏は「われわれは、顧客が自社データセンター内でクラウドの機能を利用できるようにするとともに、それをクラウドの価格モデルで提供しようとしている」と述べたうえで、「IT関連の多くの投資はファイアウォールの内側で実施されている」と語っている。
重要なポイントは以下の通りだ。
- 顧客のデータセンター内でクラウドサービスを実現することにより、企業はデータの統制が可能になるとともに、データの主権やレジデンシーに対するさまざまな要求を満足できるようになる。
- オンプレミス環境とクラウド環境の間でワークロードを移動できるようになる。
- Oracleのクラウド上ですべてのワークロードを実行できる。
- アプリケーションとデータベース、ミドルウェアがファイアウォールの内側で実行されるようになる。
- パブリッククラウドを使用している場合と同様のアップデートが受けられる。
一見するとこのサービスは、マネージドサービスと同じに映るが、同社は顧客のもとにパブリッククラウドをもたらすものだと述べている。Zavery氏によると、Oracleのクラウド環境で稼働しているものと同じハードウェアが顧客のデータセンター内で稼働するという。同氏は「マネージドサービスは顧客を中心に据えた特定顧客向けのサービスだ」と説明し、「新サービスはパブリッククラウドであり、特定の顧客に向けたものではない。『Oracle Cloud』の延長線上にあるサービスだ」と続けた。
その中核となる製品は「Oracle Cloud Machine」だ。これはJavaを搭載しており、IaaSやPaaSとともにクラウドサービスの統合を実現している。Cloud Machineは同日付けで提供が開始される。なおOracleによると、データベースワークロード向けの「Oracle Database Exadata Cloud」のほか、「Big Data Cloud」サービスが含まれているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。