海外コメンタリー

オラクルのエリソン氏はMSのLinux版SQL Server提供をどう見る?--Q3決算後発言の注目点

Chris Kanaracus (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-03-23 06:15

 SaaSの顧客数がかつてないほどの伸びを見せているなか、米Oracleの取締役会経営執行役会長兼最高技術責任者(CTO)であるLarry Ellison氏がMicrosoftのLinux分野への進出について、そしてオンプレミス分野の売上低下について決算発表後に語った。

 Oracleの2016会計年度第3四半期決算(2月29日締め)が発表された。本記事では、同社の業績と、決算発表後に行われた電話会議(同社の場合にはユーモアあふれる発言が飛び出すことも多い)で話された内容の要点を解説する。

SaaS関連での快進撃

 Oracleは第3四半期にSaaS関連で942の新規顧客を獲得した。その半数以上が「Oracle Fusion」製品によるものだ。同社のSaaS版ERPの新規顧客数は第2四半期の311から334へと増加し、共同最高経営責任者(CEO)Mark Hurd氏によると、そのソフトウェアのインストールベースは1800を「はるかに超えている」という。

 Hurd氏が「かつてない規模だ」と語る、第3四半期において783におよぶ顧客がSaaSの規模を拡大したという事実が状況を如実に物語っている。現在、同社のSaaS関連のインストールベースは、顧客数にして1万1000に達している。

 Constellation Researchのバイスプレジデント兼主席アナリストであるHolger Mueller氏は「顧客にとって、Oracleのクラウド製品における人的資本管理(HCM)という側面に目を向けると、採用に向けて機が熟しているのは自明であり、われわれはERP製品やCRM製品でも同様に捉えられていると判断している」と述べるとともに、「ここで大事なのは、Oracle製品を検討した後で必要に応じて代替を探すなどして、クラウドに移行するための積極的な戦略を評価することなしに、オンプレミスのOracle製品を稼働させたいのかという話ではもはやなくなっているという点だ。つまり、どれだけ長い間稼働させ続けたいのかという話なのだ」と述べている。

Microsoftの「データベースに関する興味深い動き」に対するEllison氏の見解

 Ellison氏は電話会議で、Microsoftのデータベース事業について興味深いコメントを述べた。

 われわれは現在でもオンプレミス向けのデータベース製品を数多く販売しているとはいえ、次世代のデータベースビジネスは主にクラウドにあると考えている。

 われわれはクラウドに移行するべきインストールベースを数多く有しているが、それらはいまだにオンプレミスのインフラを必要としている。その一方でわれわれは、10年単位でのクラウドへの移行を始められるだけの十分な互換性と、顧客のデータセンター内にあるリソースとクラウド内にあるリソースの共存機能を提供している。長い回答で申し訳ない。われわれはクラウドへの移行を容易かつ安全なものにするために、マルチテナンシー機能やインメモリ機能、数多くの先進的なセキュリティ機能の搭載といった、自社データベースの強化を図ってきた。これにより競争上の優位性を手にしているため、顧客がわれわれの元を去ることはないと考えている。むしろ逆に、顧客は持っているものの多くをOracleクラウドに移行しようとしている。

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