「通常、こういったものを製造するには3カ月から5カ月かかる。しかし、今では約1週間ほどでできる」とPrabhjot氏は言う。
発電機やエンジン、タービンなどの部品をグローバルに供給できることは、事業継続に不可欠だ。そして、驚異的な速さでのプロトタイプの製作を可能にすることこそ、GEの得意とすることだ。今では、新しい部品をすぐに手に入れたい設計者は、自由に設計を変更し、その部品をプリントアウトしてすぐにテストすることができるため、設計から製造までのループは劇的に短縮され、イノベーションのプロセスは加速されている。簡単に言えば、製造業でかつて世界が経験したことのない、連続的で素早いイノベーションの時代が到来する可能性があるということだ。
実際、このマルチモード施設は、設計、材料、テスト、製造の相互交流が起こる期待を抱かせる。GEはチャカン工場の開設前に、インドのバンガロールに、4500人のスタッフを抱える、同社にとって米国外で初めての大規模な研究開発センターを開設している。この施設は、チャカンに生産する新製品を送り込むという重要な役割を持っている。
バンガロールのGE Global Researchで材料と検査の責任者を務めるVinod Kumar氏は、「われわれは世界中のGEの同僚と協調している。世界中のさまざまな場所で、グローバルな技術プロジェクトチームが立ち上げられた瞬間から、われわれはそのチームに参加している」と述べている。
GEは、この設計と製造のイノベーションのための、相互に連動したグローバルな協力関係による恩恵を、さらに1歩拡大しようとしている。同社は、自分で考える機械を求めている。これは、アーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」を真剣に捉えている人にとっては恐ろしい話だろうが、チャカンの工場マネージャーであるAmit Kumar氏のような人にとっては恩恵だ。リアルタイムでの情報共有は、工場のコンピュータと機械が、製造スケジュールの変更に適応し、ダウンタイムに対処し、製造停止を回避し、在庫を管理することを可能にする。GEは工場を「Brilliant」(知的)なものにしようとしているのだ。
この新しいGEモデルの力は、すでに世界中で発揮されている。例えば日本にあるGEのオイル&ガス部門は、新潟県の刈羽工場で使う重要な制御バルブを、従来なら3カ月かかるところを、わずか2週間で設計してプリントした。
GEの計画が大規模に成功し、世界中で何百、何千もの小さな革命の触媒となれば、製造業ではジェニー紡績機以来の大きな変化になるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。