塩野義製薬は、機械学習エンジンを活用し、臨床開発業務で使用されるプログラムとその関連文書を自動生成する人工知能(AI)アプリケーションの開発に着手した。2015年からフィージビリティスタディを開始、統計解析の専門知識が必要とされてきた臨床試験の解析業務の多くをAIで自動化し、新薬開発のための臨床試験解析業務の大幅なコスト削減と時間短縮を達成するとともに、人の介在に起因するヒューマンエラーの大幅な低減を目指すという。SAS Institute Japanが4月7日に発表した。
塩野義製薬はこれまで臨床試験のデータ管理や統計解析業務でSAS製ソフトウェアを活用してきたという。2014年には、社内に蓄積されたデータとオープンデータなどを組み合わせ、新薬の開発や安全性の研究を行うためにHadoop環境の活用を開始し、Hadoop対応製品の一つである機械学習エンジン「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」を医薬品開発情報基盤として採用している。
研究プロジェクトを通じて、同社ではIn-Memory Statistics for Hadoopに標準装備されている機械学習エンジンの活用と理解が進み、その新たな活用方法として今回の臨床試験解析への適用を検討していた。
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塩野義製薬は現在、臨床試験の解析業務で事前に作成された解析設計書を読み解き、計画した分析手法をSAS製ソフトウェア上で実行している。具体的には、統計解析の専門知識を持った解析担当者が、そのプログラムスキルを駆使して、都度新しいSASプログラムを作成している。
これに対し機械学習エンジンの活用を検討した結果、これらの業務にAIを応用することで大幅な効率化が見込めることが判明し、2016年度内の完成を目指して開発に着手することにしたという。
新たに開発されるAIアプリケーションでは、解析設計書や解析プログラム、またそのログや出力結果などさまざまな形式のデータを活用し、高度なスキルを必要とする臨床解析業務に対してAI技術を用いたパターン化を進めていく計画。