Teslaや日産Leafを始め環境問題の一環として電気自動車(EV)へのニーズが拡がっている。そんな中、日本のベンチャーがベトナムやインドなどでEVではなく電動バイクや電動三輪自動車(トライシクル)で市場をリードしているという。
2010年創業のテラモーターズは国内では業務用電動バイクなどのビジネスしか露出していないが、実際には日本での売り上げは全体の1割未満、ほとんどのビジネスはインド、バングラデシュ、ベトナムなどの新興国における電動トライシクルの売り上げだ。さらにこれからのビジネスの軸としてドローンの領域に踏み出すという。新たな市場を開拓するビジネスを展開し続けるためには何が必要なのか。創業者で最高経営責任者(CEO)の徳重徹氏に話を聞いた。
――現在のテラモーターズのビジネス概況は。
テラモーターズ 創業者で最高経営責任者(CEO)の徳重徹氏 とにかく現場に行って問題を理解し、解決するという姿勢が印象的だった
テラモーターズはEV、特に電動バイク、電動トライシクルをメインにして開発、販売しています。東南アジアでは電動トライシクルの市場をリードしているのですが、日本での売り上げはだいたい全体の5%くらいです。そのぐらいグローバルな市場でビジネスをしているということになります。また、先日ドローンを使った新たなビジネスを発表、企業向けドローンサービスの子会社を設立しました。
――製造業のベンチャーであるテラモーターズはどのような考え方で新しい市場に切り込んでいこうとしているか。EV、それも電動トライシクルで東南アジアに打って出た理由とは。
テラモーターズが電動トライシクルをやろうとしたのは、企業のビジョンにもあるように東南アジアのガソリンバイク、自動三輪車による環境破壊をなんとかしたいということがひとつ。
そして何よりも今のEVはまだまだマスにリーチしていないという考えからです。Teslaなどを合わせてもまだ日本ではEVは数万台の規模でしかありません。トヨタ自動車とGMがそれぞれ世界でおよそ1000万台の自動車を製造しているのに比べたら微々たるものです。
日本ではEVを使わなければいけない、乗り換えなければいけないという強力な理由がないことに加え、公共交通機関が充実しています。それに比べるとインドやバングラデシュでは三輪車が生活の足、なくてはならない手段なのです。それを電動トライシクルにおき換えることでコストが下がり、ドライバーの収入も増え、結果として環境にも良いということが分かったのです。
実際に調査してみるとそれらの国では長い距離を走るのではなく数キロの道のりを往復するような使われ方が多い。それは航続距離はさほど長くない電動トライシクルには合っています。そういう現場の使われ方、ニーズを徹底的に調べて、パートナー作りからアフターサービスまでしっかりと現場で行う、というのがテラモーターズのやり方です。こうした部分が中国の新興メーカーなどと差別化できているポイントです。特に製品の品質とアフターサービスは高く評価されています。