富士通は5月19~20日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「富士通フォーラム2016」を開催した。
「Human Centric Innovation - Driving Digital Transformation」をテーマに、8つの基調講演と特別講演のほか、14のカンファレンス、49のセミナー、ワークショップ、ハンズオンを用意。ものづくり、マーケティング、流通、医療、金融などのさまざまなビジネス、社会の現場におけるビジネス革新への取り組みを紹介する。展示会場では、富士通のデジタルビジネスプラットフォーム「MetaArc」をはじめ、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)やビッグデータ、モバイルといった最新技術など約100種が展示された。来場者は1万3000人が見込まれている。
初日の5月19日午前9時30分から代表取締役社長の田中達也氏が「Human Centric Innovation ‐ Driving Digital Transformation デジタル革新を支える富士通の役割」と題した基調講演に登壇した。
富士通 代表取締役社長 田中達也氏
田中氏は、「これまでの人類の変革は、農業の誕生、産業革命、そして、通信機器と情報機器の発展によるものであったが今、第4の変化としてデジタル革新が起こっている。これまでの変革も生活や人の考え方を変えてきたが、テジタル革新も、これに勝るとも劣らない歴史的変換点である」と切り出した。
続けて田中氏は「富士通はこの第4の変化にすでに取り組んでいる。そのひとつがAIである。クルマや人の動きをAIが捉えて、交通安全、医療などに活用することができる。また、富士通は新たなディープラーニングを開発し、ディープラーニングの弱みである極端に変化するデータにも対応。センサデータが飛躍的に増えるIoT時代で効果を発揮することができる。セキュリティにおいては、通信ログのすべてを分析し、異常を検知し、未知の攻撃に対しても短時間で発見することができる」と同社の技術を解説した。
「技術を使いやすくする取り組みのひとつとしてロボットを活用している。富士通はビッグデータ活用基盤をいち早く実用化しているのも重要な取り組みのひとつである。ここでは、高速道路の安全維持、多くの人を安全に誘導するといった活用例がある。スポーツ分野では、アスリートの動きをセンシングすることで採点に活用したり、バーチャルリアリティを教育分野などに活用したりしている例がある」
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田中氏はまた、「今日はみなさんに伝えたいメッセージがある」とし、「これまでの発想を遙かに超えるデジタル時代の到来は、ゲームのルールが変わることを意味する。みなさんのビジネスにも影響がある。だが、変わっていくものと変わらないものがある」と語った。
“変わるもの”として挙げたが「つながることによってもたらされる価値」である。「いくつかのサービスやイノベーションが組み合わせることで、単純合計を遙かに超えた価値が提供できる。柔軟な発想をもって、組織や業界の壁を超えて連携することが重要になる。そして、いち早く生み出せるかどうかが、成功に向けたポイントになる。富士通はみなさんともに、その変革に取り組んでいく」とした。
“変わらないもの”としたのが、「安心、安全を提供する、命や健康を守る、クオリティ・オブ・ライフを向上させるといった本業を通じて提供する価値は変わることがない。デジタル変革による環境変化の本質は、本業で目指していることを、より進化した形で実現することにある」と解説した。
「富士通が大切にしてきたのは、常にテクノロジにチャレンジし、顧客とともに一緒に歩むことである。私が富士通に入社した時のブランドメッセージは『信頼と創造』であった。創造は新たな技術で豊かな未来を創ること、信頼は、顧客と一緒に歩んで信頼してもらうこと。その後、ブランドメッセージは変わったが、テクノロジへのチャレンジと、顧客とともに歩む姿勢は、まったく変わっていない」