「デジタル革新に取り組むことができない理由は、デジタル革新に対応できるスキルを持った人材がいないなど、人材やノウハウに起因したり、既存システムの運用コストが新分野への投資を圧迫したりといった、既存システムがネックになるという2つが課題である。アジアはレガシーシステムに縛られないため、デジタル革新への取り組みが欧米より速い。それに対して日本は、世界よりも遅いという結果が出た。日本企業が遅れをとってしまうことになる。重要なのは、競争に打ち勝つためのデジタル革新の加速である」(阪井氏)
阪井氏はMetaArcについて説明。MetaArcが提供する価値として「既存システムのクラウド移行」では、パブリッククラウド、バーチャルプライベートホステッド、デディケーテッド、デディケーテッドオンプレミスの4つのモデルを提供。さらにデジタル化の計画立案や設計構築サービスを提供するMetaArcグランドデザインのサービスを開始したこと、640の社内システムをクラウド移行を進めていることにも触れた。
また、「デジタル革新の検討、実証プロセス短期化」については、情報を集める、知恵を出し合い、アイデアをまとめる、試作、検証を短期に繰り返すという取り組みでデジタル革新オファリング、デザインアプローチ、MetaArcによる“System of Engagement(SoE)”向けPaaSを提供していることを紹介。ここでは、静岡新聞社や南都銀行などの事例を示した。
富士通はまた、すでにAIに関して、130件の商談があることを示しながら、より快適な体験ができる新たなユーザーエクスペリエンス(UX)の提供と、社内データを分析し、社内効率化を図るといった事例を紹介。5万件の顔データを8種類の顔に分類し、メイクの仕方や商品を紹介するディープラーニングの事例のほか、富士通社内のサポート部門で8万件の事例から10件の候補を挙げてオペレーターをサポートしている例を挙げた。
講演の最後には、富士通が人材教育に力を注いでいることを示しながら、924人がセキュリティマイスターの認定を受けていること、世界8カ所のデリバリーセンターでは8000人が勤務し、7カ国語を話す女性が勤務していることなどに触れた。

受け付け付近で来場者でごった返すイベント会場