新たなテクノロジへの挑戦として、20年以上も前の1988年から富士通が自動車会社とともに自動運転に取り組んできたことを示しながら、「常にその時代の最先端のテクノロジを顧客と一緒に挑戦してきた。富士通は、もっと技術を高め、専門性を磨いていく」と語った。
そして、「富士通は、デジタル革新を支える最先端テクノロジに取り組むこと、テクノロジを安全で使いやすい形で提供すること、顧客やパートナーの共創を進め、変革をもたらすという3つのテーマに取り組む」ことを明らかにした。
「それに向けて富士通の体制も変えた。テクノロジとビジネスモデルを追求する研究開発体制と、それを受けて実際に事業を展開していくビジネスグループ。それを世界各地の顧客に届けるフロント部門をつないだ一貫性を強化する。フロント部門は、専門性を持ったチームの強化を進めており、ヘルスケア、農業、ものづくり革新といったテーマごとに地域やアカウント営業と一緒になって顧客をサポートしている。今後、よりの多くの分野に専門体制を広げていく」

富士通は体制を変えている
田中氏はまた「今はほとんどの顧客が、既存システムからデジタル革新への移行過程にある。既存システムを運用しながら、デジタル化に取り組まなくてはならないことに悩んでいる。富士通は、顧客の課題を理解し、ともに解決すること、発展することに喜びを見いだしてきた。デジタル革新でも、顧客と一緒に考え、高いハードルに直面しても、それを乗り越えていくことを約束する」と宣言した。
「富士通はすべてにおいて人を基点に考えている。テクノロジが力強く人をサポートして、より高い創造性や能力を発揮できるようにしなくてはならない。私は、テクノロジは必ず人を幸せにすると確信してIT業界で生きてきた」と話した田中氏は、最後にこう呼び掛けた。
「今改めて、その基本に立ち返り、人を幸せにするテクノロジ、イノベーションにこだわる。その観点で富士通は、顧客と社会から信頼される会社でありたいと考えている。デジタル革新が実現する豊かな社会をみなさんとともに作っていきたい。富士通とともに新たな世界に進んでいきましょう」
デジタル革新に対応するスキルの人材がいない
続けて執行役員常務の阪井洋之氏が「デジタル革新を支える富士通の役割」と題して講演。「デジタル化による売り上げは、2020年には40%以上を占めるとみられており、デジタル革新を通じて、ビジネスを拡大することに対して期待が高まっている」とし、「デジタル化を通じてビジネスモデルの変革のほか、事業の卓越性、顧客との親密性、商品の優位性を実現できる」と解説した。
レオパレス21、米テキサス州リチャードソン警察署、日経BP社、川崎市でのデジタル革新の事例を挙げながらも、「日本では、デジタル化への取り組みはまだ少ないのが実態。調査では、デジタル化を実行しているのは34%とまだ少ない」と説明した。