「エプソンのインクジェット技術によって実現した圧倒的な性能を見てもらえれば、『これを扱ってみたい』と思ってもらえる。また、将来に向けた進化にも期待を持ってもらえる。製品こそが最大の営業戦略。それによって、販売網、サポート網を拡大し、この市場における存在感を高めたい」とする。ここでは、2016年度中に発売予定のオフィス内で紙を再生する製紙機「PaperLab」とのセット提案もエプソンならではの付加価値になると考えている。
碓井氏は、2018年度に複写機市場の5%のシェア獲得を目指し、その次のステップとして、10%のシェアを獲得して市場でのポジションを明確にする考えだ。
この挑戦はセイコーエプソンにとって、まさに、将来に向けた社運を賭けた挑戦とも言えるのだ。
一方、ビジュアルコミュニケーション事業では、新しいレーザー光源の採用や、スマートアイウェアによる技術的ブレークスルーを伴った新製品を展開。「レーザー光源技術やインタラクティブ技術などを極め、長寿命・小型高光束を実現した製品ラインアップの拡充を加速させることで、プロジェクタ市場でのプレゼンスをさらに強化。同時に、レーザー光源だからこそ実現可能な、新しい用途を開発する」と語った。
「MOVERIO」シリーズを軸としたスマートアイウェアでは、大きな成長に結び付けるために、製品ラインアップやアプリケーションの充実を図り、業務プロセスの革新と新用途の提案により、新市場の創出にも取り組むという。
また、ウェアラブルプロダクツは、この3年間で今後の主柱事業としての礎を築く考えを示す。「ウォッチの事業基盤を磨き上げ、センシング技術を融合し、個性豊かな製品群を創出し続ける。ウォッチは、プラットフォームの整備とバリエーション展開を図ることで、事業基盤を磨き上げる。また、センシング機器は、ウォッチでの事業資産に強みのある技術資産を融合させ、人と情報をつなぐ価値ある製品の創出により、利益貢献する事業へと転換させる」と語った。
これまでは投資フェーズだったウェアラブルプロダクツが、いよいよ利益創出フェーズへと入ってくるというわけだ。
そして、ロボティクスソリューションズ事業では、ピエゾアクチュエータや力覚センサ、3D計測などエプソンの主要な要素技術を組み合わせ、購入部品だけではできない高精度、高速、小型ロボットを実現するとともに、運動制御や画像認識などに機械学習の適用を進めることでロボットのスマート化を加速。それらの技術を事業の成長に役立てる考えを示す。
「10年後、20年後には巨大産業に育つロボティクス市場でエプソンが最も輝ける存在となれるように、この3年間で骨格となる事業基盤を作りあげたい」と意気込む。
Epson 25第1期中期経営計画の業績目標(セイコーエプソン提供)