IDC Japanは6月1日、ルータ、イーサネットスイッチ、無線LAN機器からなる国内企業向けネットワーク機器市場の2015年実績と予測を発表した。2015年の市場規模は、前年比5.6%増の2131億800万円だった。
国内企業向けネットワーク機器市場の支出額予測。2014年~2020年 (企業向けルータ、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器の合計値)
2015年の成長は、データセンター向けイーサネットスイッチ需要の増加と、企業における無線LANの継続的な利用拡大がけん引した。製品分野別の成長率では、データセンター向け需要がけん引し企業向けイーサネットスイッチ市場は前年比成長率6.3%で成長。企業向け無線LAN機器市場も依然として高い成長を続けており、2015年も9.3%と伸びた。
ベンダー別シェアでは、シスコシステムズが3つの製品分野すべて首位を獲得し、市場全体でのシェアは47.8%に達した。国内企業ネットワークにおける浸透度の高さと製品ポートフォリオの充実度が改めて強く意識される結果となった。IDCはシスコについて、各製品分野では競合は存在するものの、企業向けネットワーク機器市場全体では、製品や事業ポートフォリオの総合力で抜きんでた存在とした。
一方、IDCは同市場の今後について、大きな成長は見込みにくいものの安定していると指摘。国内企業向けネットワーク機器市場全体における2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は0.7%で、2020年の市場規模は2015年と横ばいの2203億7800万円と予測。製品分野別でも、同期間の企業向けイーサネットスイッチ市場のCAGRは0.9%、同じく企業向けルータ市場はマイナス1.1%、企業向け無線LAN機器市場については2.3%と予測している。
ただし、全般的には低成長市場であるものの、限定的ながら成長領域が残されている。例えば、IoTに代表されるPC、サーバ、ネットワーク機器以外のNon-ITデバイスのネットワーク接続の増加は、企業向けネットワーク機器市場の新たなけん引役として期待される。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、企業向けイーサネットスイッチ市場について、次のようにコメントしている。
「IoT向けソリューションの最初の一歩は、Non-ITデバイスのネットワーク接続に適した設定、運用管理機能の強化である。その際に最も留意すべき点は、イーサネットスイッチベンダーが想像する以上に設定機能を容易にし、工事者や運用管理者の作業をシンプルにすることである」