Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、「なぜ今更PCを買うのか、正直なところその理由が分からない」と語った。そしてPCの市場は、彼の疑問に的確な回答を示すことができなかった。
とはいえ、2016年も2億3200万台の出荷が見込まれているPC市場は、決して死んだわけではない(実際、この記事もPCで執筆しているし、企業のオフィスはPCに残された最後の牙城だ)。PCは絶滅しない。しかしPCが生き残るためには、変化を避けては通れない。それはPCベンダーもしかりだ。
今日のPCは数十年前のPCから大きく変化している。当時、フロッピーディスクを搭載するベージュ色の箱だったPCは、今日ではスリムなラップトップに姿を変え、ディスプレイとキーボードを分割するなど、必要に応じて形態を変えることさえ可能になった。そして今後、さらなる変化の波がPCに訪れようとしている。
今後の数年でPCに訪れる可能性の高い変化を幾つか紹介しよう。

Microsoftは「Surface」でPCの未来に対するビジョンを提示した。
提供:Microsoft
1. 利益率の追求。Gartnerによると、PC市場全体が縮小傾向にある中で、「ウルトラモバイル」と呼ばれるカテゴリだけは成長を示している。したがって今後は、このカテゴリを追求する高価で高機能なハイブリッドデバイスが数多く登場するだろう。アナリストは、高価なウルトラモバイルの市場規模が346億ドルに達すると予測している。これは2015年に比べて16%も成長することを意味しており、ウルトラモバイルは3年以内にPC市場で最も採算性の高いカテゴリへと成長する可能性がある。その理由は、ウルトラモバイルの利益率にある。500ドル前後の安価なラップトップの場合、利益は5%の25ドルに過ぎない。しかし1000ドルの高性能ウルトラモバイルPCであれば、利益は25%の250ドルに達するとされている。
2. ゲーミングPCへの注力。1と同じ利益率の理由により、PCベンダーはゲーミングPCに注力を始めている。年間出荷台数は数百万台と、市場全体から見れば矮小なカテゴリではあるが、ゲーミングPCの価格はエントリーモデルでも850ドル前後と高価で、プレミアムモデルともなれば優に1500ドルを超える。