GCPでは顧客が必要とするアプリのみに注力
Google シニア バイス プレジデント ダイアン・グリーン氏
続いて登壇したGoogle シニア バイス プレジデント ダイアン・グリーン氏は、Google AppsやGoogle Cloud Platform(GCP)などのソリューションがパートナー企業の成長に役立つことをアピールしながら、「新しい技術を使わないことはリスクにつながる。それをフォローしつつ、Googleは顧客のさらなる成長に向けたデジタルトランスフォーメーションを支援する」(グリーン氏)と呼びかけた。
GCPについては、東アジア(東京)リージョンを設立することを3月に発表している。グリーン氏は、GCPの開発方向性について「顧客に必要なアプリケーションにのみ集中する」と説明。顧客の今後10年間の成長を支援する戦略パートナーに求められる役割として、「最高レベルのセキュリティと運用実績」「継続的なイノベーション」「世界規模のインフラ」「圧倒的なコストパフォーマンス」「オープンスタンダードに対するコミット」がGoogleに必要であり、これらの要素をすでに実現していることをアピールした。
PwC コンサルティング 副代表執行役 ストラテジーコンサルティング 今井俊哉氏
Googleのパートナー企業の1社であるPwC コンサルティング 副代表執行役 ストラテジーコンサルティング 今井俊哉氏は、クラウド時代におけるコンサルティング業のあり方について次のように説明している。「コンサルティング業に求められるのは、軽快さやスピード感。顧客の要求するスピードに追いつき、先を行かなければならない」(今井氏)
今井氏は、既存の内部監査業務は近い将来にコンピュータに置き換わるため、自分たちも変化しなければならないという。その第一歩としてGoogleを選択したそうだ。今井氏はその理由を「コンシューマ起点での新しい技術利用の着眼点」「リスクとコストを適切に管理」「データ起点のサービスをグローバルスケールで提供」「Googleと連携したサービス提供」「強靱かつ堅牢な協調型ソリューション」と5つのポイントにまとめた。「(Googleのような)先進的プレイヤーと一緒になることで、自分たちも新たなサービス提供が可能になる。次世代を担えるプロフェッショナルサービスファームへの一歩を踏み出す」(今井氏)
ビジネス向け機械学習機能「Google Springboard」を2016年中に一般提供
Google エンジニアリング担当 バイスプレジデント プラバッカー・ラガバン氏
次に登壇したGoogle エンジニアリング担当 バイスプレジデント プラバッカー・ラガバン氏は、Gmailに代表されるGoogle Appsを指して「可用性を電力に近い状況で維持したことで、10億人以上のアクティブユーザーを獲得し、200万社以上のビジネス利用を実現している」とアピールした。そして、今回新たな発表として、「Googleサイト」のリニューアルと「Google Springboard」の提供予定を明らかにした。
Googleサイトは、社内ポータルやウェブページを簡単に作成できるサービスだが、リニューアル後は、PCやスマートフォンなどデバイスの閲覧能力を問わず、一貫したUIを提供可能にするという。現在はアーリーアダプター向けに展開中だが、2016年後半にも一般ユーザーに提供するという。
Google Springboardは、機械学習を通じてGoogle Appsなどに積み上げた情報とユーザーを結びつけるアプリケーション。例えば、会議の内容を予習する際に関係する情報をSpringboardがプッシュ型で提供する。既にGoogleはGoogle Nowというパーソナルアシスタントシステムを提供しているが、似たような技術でビジネスに必要な情報を先回りしてユーザーに提示する仕組みだ。こちらも現時点ではアーリーアダプター向けの提供にとどまるが、2016年後半に一般提供を開始する予定だ。
Googleドライブでグローバル従業員にラーメンの職人技を共有
力の源カンパニー 代表取締役社長 清宮俊之氏
ラーメンの「一風堂」を世界13カ国で運営する力の源カンパニー 代表取締役社長 清宮俊之氏も登壇し、Googleソリューションを活用していることをアピールした。清宮氏によれば、国内で1年間に新規開業するラーメン屋は約3600店舗。同時にさまざまな理由で同じ数の店舗が閉店に至っていることから、ラーメン業界が入れ替わりや変化が激しい業種だと説明する。
このような経営環境で勝ち抜くために、同社では、麺の長さなど多様な変化を加えながら「顧客に飽きられないイノベーションを繰り返している」(清宮氏)と述べた。ワールドワイドで1日に6万人のお客が訪れる各店舗の運営には、時差や言語、文化の違いから日々トラブルが発生する。その文化の溝を埋めるためにGoogleドライブを活用。グローバルの従業員に対して、テキストマニュアルでは伝えきれない創業者の言葉や職人の技術を映像コンテンツ化し、情報共有しているというユニークな試みを披露した。