コニカミノルタジャパンは、複合機データなどのIoTデータをはじめとするビッグデータアナリティクス環境を構築した。導入後1年未満だが、既にシステム投資額を大きく上回る効果を得ているという。アナリティクス製品を提供したSAS Institute Japanが8月30日に公表した。
コニカミノルタジャパンは、複合機やその消耗品の販売およびサービスを手掛け、顧客の価値創造と事業成長への貢献を目指して、オフィスやプリントにかかわる顧客課題にワンストップで応えられる体制作りを進めている。同社では、さらなる顧客満足度と業務の効率化を目指し、複合機からの機械データに加え、基幹データや外部データを加えたビッグデータ分析環境を、SASの「SAS Analytics」を用いて構築した。
同プロジェクトでは、アナリティクスで解決すべき経営課題や現場課題を調査、特定し、売上予測、在庫予測、故障予測、顧客離反予測、営業最適化の5つを基軸モデルとして設定。さらに、リアルな現場の声をアナリティクスに生かすため、分析モデルの構築から効果検証まで一連のデータ分析作業に現場部門も参画する体制を整えた。
また、SASの機械学習や時系列予測などの高度な分析手法を駆使し、試行錯誤しながら使える分析モデルの構築を実現している。これらの工夫により、導入後1年も経たず、顧客ごとの出力枚数予測に基づくトナーなど部品交換の最適化やコールセンターのコール履歴分析など60種以上の分析モデルを構築し、システム投資を大きく上回る効果を生むことに成功したとしている。
本プロジェクトを統括するコニカミノルタジャパン情報機器事業統括本部データサイエンス推進室室長の矢部章一氏は、以下のようにコメントしている。
「導入検討時には代表的なアナリティクス製品を公平に評価した。分析モデルを作り、業務で使用する大量データで処理パフォーマンスをテストし、ビジネスでの活用に耐え得る処理速度と予測精度を得られる製品を選定した。導入したシステムが、データ準備から分析モデルの構築、実行、効果検証まで一連のアナリティクス、ライフサイクルをサポートする統合プラットフォームを提供しているという点は、分析のPDCAを高速化するだけでなく、グローバル展開やIoTデータのさらなる活用など今後の拡張性を考える上でも重要と考えている」