マイクロソフトのナデラCEOが考えるAIと人の協働、その指針

Hope Reese (TechRepublic) 翻訳校正: 編集部

2016-07-05 12:43

 Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるSatya Nadella氏は、「今こそAIに関して協調と協業を強化すべきときだ」とSlateへの投稿で述べている。

 Nadella氏はSlateの記事で、AIの有益性と有害性にフォーカスするのでなく、機械と人間の協働、そして「増幅した」知能について考えるよう、AIについての見直しを促している。「AIの是非に関する議論の中で、機械と人間が連携することの利点が見失われてしまっている」(Nadella氏)

 Nadella氏はさらに、AIに関する10の指針を以下の通り提示した。(若干の編集と要約を行っている)。

  1. AIは人間を助け、人間の自主性を尊重するよう設計されなければならない。協調ロボット(コボット)は危険な作業を行って、人間の労働者のために安全策と保護手段を提供すべきだ。
  2. AIは透明性のあるものでなければならない。われわれはAIの仕組みとその規則を把握しておくべきだ。AIがどのように世界を見て分析するのかを理解しておく必要がある。倫理と設計は密接に関連している。
  3. AIは人間の尊厳を破壊することなく、効率を最大化しなければならない。文化的コミットメントを保ち、多様性を強める必要がある。これらのシステムの設計には、より広範で深く多様な人々の関与が必要だ。
  4. AIはインテリジェントなプライバシーを実現できるよう設計されなければならない。つまり信用を得る方法で個人や集団の情報のセキュリティを確保する高度な保護対策である。
  5. AIにアルゴリズムの説明責任を持たせなければならない。人間が意図せぬ損害を解消できるようにするためだ。われわれは予期できることと予期できないことの両方を想定してこれらのテクノロジを設計する必要がある。
  6. AIは偏見を防止する能力を備え、適切で代表的な調査結果を利用しなければならない。誤ったヒューリスティクスが差別に利用されるのを防ぐためだ。

 さらに人間は以下のことを求められる。

  1. 共感能力。他者の考えや感情を把握して協力し、関係を築くことは、人間とAIの世界において極めて重要になるだろう。
  2. 教育。現在のわれわれが理解しえない革新的技術を生み出し管理するには、教育へのさらなる投資が必要になる。新しいテクノロジの大規模な導入に必要な知識と技術を発展させることは、解決に長い時間がかかる社会的な難題だ。革新と技術、賃金、富の間には直接的な関係がある。
  3. 創造性。機械は人間の創造性を向上および拡張させ続けるだろう。
  4. 判断力と説明責任。われわれはコンピュータの生成した診断や法的決定を受け入れることに前向きかもしれないが、今後も最終的に結果の責任を負うのは人間になると考えられる。
MicrosoftのSatya Nadella CEO
提供:Microsoft

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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