海外コメンタリー

MSのネットワーク高速化に向けた取り組み--「Windows 10」と「Windows Server 2016」で実現へ - (page 2)

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年07月29日 06時00分

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 Microsoftは今回、このGoogleの提案を実装した。Windows 10とServer 2016では、デフォルト値は10セグメントに変更される。この変更により、スロースタート時の通信速度は、従来のデフォルト値である4セグメントの場合よりも改善される。サイズの小さいデータストリームは、現在の約2分の1の時間で送信できるようになるはずだ。

 Tail Loss Probe(TLP)もGoogleが提案しているインターネットドラフトの1つであり、TCPでパケットロスが発生した際の復帰速度を改善するよう設計されている。TLPでは、パケットロス発生時に、再送タイムアウトによる再送ではなく、Fast Retransmitを使用することで、パケットロスからの復帰を早める。

 TLPでは、接続に未送信のデータが残っており、ACKを受け取っていない場合、RTTの2倍の時間が経過するごとに1つのパケットを送信する。この際送信されるパケット(ロスプローブ)は、新しいパケットでも、再送パケットでもよい。コネクション末尾のパケットが失われた場合、ロスプローブに対するACKが受信されると選択的ACK(SACK)およびフォワードACK(FACK)を使用したFast Recoveryがトリガされ、コストが大きい再転送タイムアウトの発生が回避される。

 Windowsでは、TLPはRTTが10ミリ秒以上の接続でのみ有効になる。これは、低遅延接続で無駄な再転送を避けるためだ。TLPがもっとも有利に働くシナリオは、広域ネットワークでウェブの短いデータを転送する場合だ。

 Recent ACKnowledgement(RACK)は、TCPに新しいパケットロス検出アルゴリズムを実装するために、Googleが提案したインターネットドラフトだ。このアルゴリズムでは、データの喪失が発生したかどうかを調べるのに、重複したACKをカウントする代わりに、パケットのタイムスタンプを調べる。

 Windowsでは、Windows 10でもWindows Server 2016でも、RTTが10ミリ秒以上の接続でのみRACKが有効になる。これは、低遅延接続で無駄な再転送を避けるためだ。RACKはまた、SACKのネゴシエーションに成功した接続でのみ使用される。

 最後の要素であるWindows Low Extra Delay BAckground Transport(LEDBAT)は、研究機関とBitTorrentが提案したRFC 6817に基づいている。これは終点間で利用できる帯域をできるだけ多く利用しつつ、そのことによるキューイングの遅延を最小限にとどめることを目指した、遅延の情報に基づく輻輳制御アルゴリズムだ。

 これによって、ほかのTCP接続の邪魔をしないバックグラウンド接続が可能になる。Windows LEDBATは、実験的な「Windows TCP Congestion Control Module」(CCM)として実装されている。

 Windows LEDBATはデータをバックグラウンドで送信し、他のTCP接続の邪魔をしないようになっている。LEDBATは、使用されていない帯域だけを消費するようにすることでこれを実現している。LEDBATがほかのTCP接続が帯域を消費していることを示す遅延の増加を検知すると、ほかのTCP接続への干渉を防ぐために、自分自身の帯域消費量を減らす。遅延が減少すると、LEDBATは再び使用帯域を増やし、使用されていない帯域を消費するようになる。これは、BitTorrentやその他の優先順位が低いネットワークで使用するには理想的なアルゴリズムだ。

 全体として、Windowsユーザーはすぐにネットワーク性能の改善を感じられるようになるはずだ。これらの新しい技術はまだ実装の過程にあるため、将来はさらに性能が向上することが予想される。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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