デジタルガレージの子会社で決済事業を手がけるベリトランスは、決済業界で初めてとなる2拠点での「データセンター完全二重化」を決定、マルチ決済システム「VeriTrans3G」を中心とした決済プラットフォームのDR(Disaster Recovery)サイト構築に着手した。構築を支援するTISと日本オラクルが先月発表していた。
ベリトランスの次世代決済サービス基盤
日本政府は2005年以降、大地震などの災害に対する企業防災面の対策の柱として、事業継続計画(BCP)に関するガイドラインや指針を相次いで発表している。ベリトランスではそれらを受け、「社会インフラ」である決済サービス提供事業者の責務である、決済システムを止めないための施策として、2013年にオラクルのエンジニアド・システム「Oracle Exadata Database Machine X2」を導入し、クレジット業界におけるグローバル・セキュリティ基準PCI DSS に対応した課金決済プラットフォームのリニューアルを実施している。
しかしその後も、主要顧客層であるグローバル企業や日本の大手企業がBCP対策の強化を進めていることから、これに対応するためExadataの最新世代である「Oracle Exadata X6」への既存システムの刷新と、DRサイトの構築に踏み切ることとした。DRサイトについては、決済業界で初となる、同時被災の可能性の少ない2拠点での「データセンター完全二重化」を決定。具体的には、データの高可用性や保護および障害時リカバリを保証する機能「Oracle Data Guard」でスタンバイ・データベースと同期を取ることによるBCPを実現する。さらに、EC事業者、消費者へより高い品質の決済サービスを提供するため「サービスの無停止化」を最終目標に、これまで年数回実施していたサービス停止を伴うメンテナンスを将来的には完全に廃止する体制を目標としている。
ベリトランスの次世代決済プラットフォームは、9月までの要件定義後、2017年4月までにプライマリ側のExadataを刷新、さらにDRサイト用のExadata X6を同時被災の可能性の少ない別の地域で新規に構築。その後、2017年8月にデータレプリケーションソリューション「Oracle GoldenGate」を活用してデータを移行し、新プラットフォーム全体が稼動する計画。設計・構築およびデータ移行をTISが、製品に関する技術支援を日本オラクルが、それぞれ担う予定となっている。