2016夏休み企画 :EdTechの最前線

組立ロボット教材“まずは私立学校と塾がターゲット”:EDIXレポート

取材・文:神谷加代 構成:羽野三千世(編集部) 2016年08月15日 16時14分

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 日本最大の教育専門展「教育ITソリューションEXPO」(以下、EDIX)が5月18〜20日の3日間、国際展示場で開催された。第7回目となる今年は、過去最多の10カ国680社が出展。3日間の来場者数は3万人を超えた。

 今年のEDIXで注目すべきは、プログラミング教育やSTEM教育の教材を展示した、みらいの学びゾーン「学びNEXT」だ。この分野は、昨年まで教材・教育コンテンツゾーンの一部だったが、今年はプログラミング教育が必修化に向けて大きく動いたことから、メイン会場とは別にスペースが設けられ、新たなセクションとして展示された。

 学びNEXTでは、プログラミング教材、電子工作キット、3Dプリンタ、教材用ロボットなど計37社の展示ブースが並んだほか、学びNEXT特別セミナーにはSTEM教育やEdTech分野の先駆者らが登壇し、教育の未来やテクノロジーと教育について熱く語った。


私立学校と塾がターゲット、組み立てロボット教材が多数!

 プログラミング教育やSTEM教育に関する教材を展示したみらいの学びゾーン「学びNEXT」。出展ブースの全体的な傾向としては、組み立て式のロボット教材を展示する企業が多く見られた。会場には、2020年度から公立小学校でプログラミング教育が必修化されるとあって、どのブースも来場者でいっぱいだ。

 既に私立の教育機関などを中心に導入実績のあるレゴエデュケーショナルは、主力製品「マインドストームEV3」ほか、2016年4月に発売したサイエンス&プログラミング教材「レゴWeDo 2.0」を展示した。同製品はマインドストームEV3と同様、タブレット端末からBluetooth経由で制御できるのが特徴。わざわざパソコン教室に行かなくても、タブレット端末があれば普通教室でプログラミングの授業ができるのがメリットだ。対象年齢は小学校1年生以上で、生活や理科、総合的な学習などのプロジェクト型学習に活用できる。


レゴエデュケーショナルのサイエンス&プログラミング教材「レゴWeDo 2.0」>

 学研エデュケーショナルは、教材会社Artec(アーテック)と協業で開始したプログラミング講座「もののしくみ教室」で使用しているロボット教材を展示した。同教室では、自動ドアや踏切、お掃除ロボットなど、生活に身近なものを作りながらプログラミングを学ぶのが特徴だ。テキストにおいても、単に“ものの仕組み”を解説するだけでなく、ものづくりメーカーへのインタビューやトリビアを混ぜ込み、社会とのつながりが学べる内容になっている。



学研エデュケーショナルの組み立て式ロボット教材

 同じく教材会社Artecのブロックと電子基板を使っているのが、Sony Global Educationのロボット教育キット「KOOV(クーブ)」だ。同製品は学研の教材とは異なり、家庭向けにデザインされたもの。組み合わせ自由な7種類の透明ブロックを使って、少ないパーツで多くのアイデアを形にしながら創造性の育成を目指す。2016年夏に商品化予定だという。


Sony Global Educationのロボット教育キット「KOOV」

 韓国の公立小学校でSTEM教育教材として広く使用されている「ROBOTAMI」(韓国robotron日本総販代理店 康栄コーポレーション)も展示。日本市場向けには、小学校1年生〜6年生までを対象に5段階レベルの日本語テキストも用意した。また、中国企業のMakeblockは、アルミフレームを組み立てて作るロボット教材「Makeblock」を展示した。同社の担当者は、「日本はSTEM教育では世界から遅れているが、逆に可能性を感じている」と話す。Makeblockも日本市場向けに指導者用テキストブックの日本語化を進めているという。


韓国企業robotron社の「ROBOTAMI」

中国企業Makeblockのロボット教材「Makeblock」

 教育分野に新規参入したデンソーは、コラボレーションロボット「COBOTTA」を発表した。同製品は工場で使える精度と耐久性を実現した産業用ロボットで、ロボット本来の動きや機構を学べるほか、ダイレクトティーチングなどの学習も可能だという。デンソーの担当者は「ロボットを扱えるエンジニアが不足しており危機感を持っている。もっとロボットの世界に興味を持ってほしい」と教育分野にかける思いを語る。


デンソーのコラボレーションロボット「COBOTTA」

 このように、今年のEDIXには組み立て式のロボット教材が多く集まった。これらの教材を出展した企業にターゲットとなる教育機関を尋ねたところ、その多くが「まずは私立学校と塾に導入したい」と答えた。一方、公立小学校の動きを先取りしたい私立学校や塾の関係者らのプログラミング教育への関心は高まっており、レゴエデュケーショナルの担当者は「昨年あたりから塾の問い合わせが増えている」と話す。当面は、動きの早い私立学校や塾を中心にプログラミング教育が広がっていく気配だ。

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