今後数年間のHewlett Packard EnterpriseとDell Technologiesは、テクノロジ企業のビジネスモデル研究には格好の題材となるはずだ。Dell Technologiesは規模を重視し、大企業も機敏になれるはずだと考えている。HPEはできるだけ早く不採算部門を切り離し、ハイブリッドクラウドや、ソフトウェア定義インフラストラクチャに力を集中して、規模の大きいライバル企業よりも素早く対応できるようにしようとしている。
わずか1年前には、Hewlett-PackardはフルコースのITベンダーであり、1社でPCやプリンタ、サーバ、ネットワーク機器、ストレージ、サービスなどをすべて提供していた。その後何が起きたかは、ご存じの通りだ。最高経営責任者(CEO)のMeg Whitman氏は、力の集中を合言葉として同社を分割した。Hewlett-Packardは、HPEとHP Inc.になり、後者がPCとプリンタ事業を引き継いだ。
次の図は、HPEの全貌を説明するものだ。HPEはエンタープライズサービス部門をスピンオフしてCSCと統合させる計画を発表しており、同社のソフトウェア事業についてもスピンオフし、イギリスのソフトウェアベンダーMicro Focusと統合させるとしている。

HPEがMicro Focusの買収について発表したのは、DellがEMCの買収手続きを完了し、Dell Technologiesが発足してから、わずか数時間後だった。次の図は、Dell Technologiesのテクノロジスタックをまとめたものだ。

同社のCEOであるMichael Dell氏は、この合併によって、決算発表スケジュールに縛られることなく「10年単位で考える」ことができるようになったと語った。Dell氏は、やはり規模は重要だと主張する。また、年間売上高が740億ドルの同社でも、機敏さを維持することはできるというのが同氏の意見だ。
両社の違いは興味深い。Dell TechnologiesとHPEは、代表的なレガシーIT企業だと考えていいだろう。そしてどちらも、大きな野心を持っている。HPEのWhitman氏はソフトウェア定義ネットワークやハイパーコンバージドインフラストラクチャについて語っているが、Dell EMCのエンタープライズ部門がHPEと真っ向から競合することになるのは明らかだ。