国内企業のIoT利用率は5.4%--大手製造業を中心に向上

NO BUDGET

2016-10-05 18:16

 IDC Japanは9月13日、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。ウェブアンケートに回答があった4517社のうち、IDCが定義するIoTの利用企業は245社で、利用率は5.4%と前年の調査から0.5ポイント増えた。大手の製造業が中心となってIoTの利用率は着実に向上しており、またいずれの産業分野でもIoTに対する認知度は高まってきているという。


企業のIoT利用率、2016年(左、n=4517)と2015年(右、n=6906)

 調査では、ウェブアンケートで「IoTを利用している」と回答した企業のうち、ウェブアンケートの自由記述欄に記載された、IoTの具体的な利用内容がIDCの定義するIoTと合致している企業を「IoT利用企業」と定義している。なお、ビルの空調管理やテレマティクスなど、全ての産業分野に共通して使われる単純用途のIoTのユースケースは除外した。

 こうした厳格なフィルタリングを実施しているため、企業の実際のIoT利用率より少ない数字で利用率が算出されていると想定される一方、こうした厳しい基準を設けているがゆえに、IoTを実際に利用している企業の産業分野別の利用動向や利用用途の傾向を正確に把握できると同社は見ている。

 IDCではIoT利用企業の産業分野を4つのセクタに分類しており、最もIoT利用率が高いのは製造/資源セクタの8.5%となった。このセクタでは、組立製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組み込み機器が、古くからIoTとして活用されてきていることが関係している。その他のセクタでは、流通/サービスセクタが3.2%、公共/インフラセクタが4.0%、金融セクタが3.5%だった。

 利用用途別に見ると、M2M(Machine to Machine)時代の名残りとして自社内の業務効率化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTが全体の8割以上を占めている一方、社外顧客へのサービス付加価値向上/新ビジネス創出を目的とする「社外用途」も徐々に広がりつつある。

 またIoTの導入/運用窓口については、「事業部門」が約46%で、「IT部門」の約32%を上回る結果となっている。事業部門が主体となってIoTビジネスを加速するのに伴い、各産業分野に強みを持つ非IT事業者と企業の事業部門が密に連携して、新たなIoTのユースケースを創出するようなケースが増えるとIDCではみている。

 同社コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、以下のようにコメントしている。

 「社内用途でIoTを利用する企業は、費用対効果の明確化の難しさ、セキュリティ懸念、技術力不足、人材育成の遅れ、などを課題として認識している。また社外用途で利用する企業では、IoTによる事業競争力の更なる強化や、新規顧客開拓に向けて試行錯誤する取り組みが見られる」

 調査は、全国の従業員規模100人以上の企業を対象に5月から7月にかけて、IoTの利用動向に関する定量調査(ウェブアンケート)と定性調査(個別の対面インタビュー)を実施したもの。

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