ブロックチェーン

先行者利益が高いブロックチェーン--GLOCOM(前編) - (page 2)

松下康之

2016-09-29 07:00

 自律的に価値を提供しながら、中央集権的な管理構造がないという組織であるという紹介が行われた。ただしDAOの脆弱性を突いた「DAO事件」を同時に紹介し、ブロックチェーンの基盤が未だに成熟には程遠いことを紹介。さらに自律的に分散しているはずのブロックチェーン(この場合はEthereum)がハードフォークという方法で、ブロックチェーンそのものをリセットする処理を強制的に行うことが可能であるという部分から、アプリとインフラの切り分けや責任の所在、さらに異常発生時の意思決定や対処方法などに課題があることを明らかにした。

 他のキーワードとして「仲介者の役割」として現代のエスクローなどの役割が根本的に変わる可能性があること、ブロックチェーンによって「マイクロトランザクション」が可能になり、これまで不可能と思われていた少額での取引の実行により、新たなエコシステムが可能になると解説した。

 例として「Ping 21」というサービスを紹介した。これはインターネットに無数に存在するウェブサーバのモニタリングを自分のコンピュータから行うことで少額のビットコインを得るサービスである。参加者が自身のコンピュータ上にPingを行うサーバを立てて、そこからモニタリングした結果をマーケットプレイスで売るといういわゆるP2P通信、Grid Computingの一種である。自身のコンピューティングリソースを割いて多くのPingを実行すればその分だけ利益が得られるが、少ない量のモニタリングでも参加者が増えればモニタリングの機能としてスケールできるという例だ。ここでは非常に少額のビットコインをやり取りすることでビジネスが成り立ち、「マイクロトランザクション」が可能になることを表している。

 さらに「機能のリバンドリング」と題されたスライドではブロックチェーンによってデータそのものが企業のシステムの中に存在するのではなく、P2Pのネットワークの中でコントラクト(商取引)と通貨、決済などが外に出てしまうことを解説した。つまりこれまで企業の資産の一部とみなされていたものが企業の外側に存在しうるという。また「コイン・エコノミクス」と称してオープンソースのプラットフォームとアプリケーションがブロックチェーンによる通貨によって新たなエコシステムを創造できることを解説した。しかしいまだブロックチェーンに関しては先行者利益が高く、今後、アーリーアダプターだけではなくフォロワーをいかに巻き込めるか、スイッチングコストをいかに下げられるか、がポイントであると語った。

 後編に続く。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]