国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)は9月8日、「ブロックチェーン・イノベーション2016」と称したセミナーを開催した。日本マイクロソフト、日本銀行、経済産業省、東京大学、ヤフージャパン、日本IBM、MITメディアラボの研究員など多彩な登壇者をそろえてブロックチェーンの可能性や安全性、未来などについての解説した。
まず「ブロックチェーンの概要と可能性」というセッションで登壇したのは、GLOCOM のブロックチェーン経済研究ラボの代表を務める高木聡一郎氏だった。高木氏はブロックチェーンの基礎的な概要を振り返った後で、ブロックチェーンのビジネスモデルとしての可能性やさらに単なる電子通貨としてのブロックチェーンの応用だけではなくスマートコントラクト(契約の自動化)などのユースケースに広がり始めていると解説した。その中で特に5つのキーワードを挙げ、ブロックチェーンが今後、社会の中で使われていくに伴って考慮しなければいけない多面的な視点を解説した。
ブロックチェーン経済研究ラボ代表、高木聡一郎氏
最初に挙げたのは自律分散型組織(Distributed Autonomous Organization:DAO)でブロックチェーン使って企業の成り立ちを変え、これまでの企業組織にみられる規約などに縛られるのではなく参加する人員が自律的に分散された仕組みとして組織を再定義するもので、例としてArcade Cityというライドシェアのサービスを紹介した。
これはEthereumをバックエンドの仕組みとして利用するもので参加するドライバー自身が所有する企業であるという。UberやLyftのように管理する企業体と契約を行って所属するのではなくドライバー自身が価値を提供し、それに対する対価を得る時に自由に価格を設定したり、サービスの内容を変更できるという。