Salesforce.comが米国時間10月4日から開催する「Dreamforce 2016」では、同社の人工知能(AI)プラットフォーム「Einstein」が話題の中心になりそうだ。同社の幹部らはここ数週間、Einsteinの詳細を少しずつ明らかにしてきている。
皮切りは、同社の決算発表時に実施された電話会議における、最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏による概要説明だった。その後、Einsteinを直接統括するチームが目玉となる機能のデモを見せるとともに、同プラットフォームをどのような分野(リードスコアリングや販売の予測分析を思い浮かべてほしい)から適用していけるのかを説明してきた。
本記事では、米国時間9月19日に発表されたEinsteinについて、知っておくべきことを紹介する。
Salesforceは、同社のクラウド全体に人工知能の息吹を吹き込もうとしている。Einstein担当のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのJohn Ball氏は、同社が独立したAI製品を提供することはないとし、「これはすべてのクラウドを通じてAI機能を提供する、顧客関係管理(CRM)向けのAIだ」と述べるとともに「CRMというコンテキストにAIが内包されている」と述べている。

業務ユーザーも開発者と同程度にAIを使用することになる。Salesforceが開発者に向けて、予測型分析サービスのほか、各種の予測やセンチメント分析、モデル化のカスタマイズでアピールしているのはもちろんだ。そしてSalesforceはEinsteinと、同社の開発プラットフォームである「Heroku」を連携させようとしている。しかし、Einsteinでは業務ユーザーも大きな恩恵を被ることができる。Ball氏のデモでは、業務ユーザーがどのようにしてプロセスのモデル化を行い、AIを組み込めるのかが強調されていた。同氏は、「世の中には、モデルを構築できるデータサイエンティストの数が不足している。モデルはプラットフォーム内に組み込まれていなければならない」と述べている。

ここでの売りは、EinsteinとAIがデータサイエンティストの人材不足を補い、企業が独自には開発できなかったツールを提供することだ。 Ball氏は「AIは大多数の企業にとって、あまりにも敷居が高い」と述べている。


Einsteinは買収によって獲得した技術に基づいている。Salesforceはここ数年でAI関連企業を9社買収し、データサイエンティストと専門家からなる175名のチームを築いている。
AIは目に見えてはいけない。Ball氏はAIが舞台裏で活躍するべきものだと述べている。Facebookの画像認識や、Amazonの機械学習や「Alexa」(「Amazon Echo」)、そしてGoogleのツールはすべて、AIが舞台裏で動作するものとなっている。Salesforceはビジネスの分野で同じことを行おうと考えているのだ。

データの取得元は?Salesforceは、同社の顧客ベースと、企業とのやり取りに基づく大量のデータを保有している。これらのデータから、顧客が目的に応じてあつらえられる優れたメタデータの基盤が得られる。Ball氏によると、こういったデータは自動的にモデル化されるものの、共有されることはないという。Einsteinのシステムは、ローカル側で決定したデータ定義に準拠して動作し、Salesforce側では情報の共有に際して許可が必要となる。

Einsteinの価格は?Ball氏は、Einsteinがコアプラットフォームの一部になり、既存のサービスとライセンスに一部の機能とツールを組み込んだかたちで提供されると述べている。また、Einsteinのその他の機能については別途追加費用が発生する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。