クラウドへの移行を進めるOracleは、Oracle OpenWorldカンファレンスで多くのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)やPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)を新たに発表した。
Oracleはクラウドインフラ事業をかなりの勢いで強化しているが、その目標は壮大だ。同社は今会計年度のSaaSとPaaSの年間売上を、20億ドル以上まで伸ばすことを計画している。
Oracle Cloud担当シニアバイスプレジデントのSteve Daheb氏は、「われわれは、クラウドへの取り組みでよく考えられたアプローチを取りたいと考えている。クラウドは簡単であるべきだ、というのがわが社のビジョンだ」とZDNetに対して語った。
Oracleのクラウドを簡単にするという取り組みは、スタックの最上層から始まっており、同社は複数の「インテリジェント」なクラウドアプリケーションを導入した。BlueKai買収が新しいサービスのルーツだ、とDaheb氏は述べている。
これらのアプリケーションは、同社が持つ50億以上の消費者や企業の情報を利用している。これらのアプリケーションは、組織のユーザーやその行動に関する情報を取り込み、最先端のデータサイエンスを適用することで、個々の顧客や従業員に合わせた情報を提供することができる。
OracleはこのたびのOracle OpenWorldでほかにも、営業、マーケティング、財務、人事などを始めとする幅広い領域をカバーする、いくつものクラウドアプリケーションを発表している。
それに加え、同社は正式に「Oracle Database 12c Release 2」をはじめとする新たなPaaSサービスをリリースする。Oracleがデータベース製品のクラウド版を最初に提供するのは初めてのことだ。
一方で、Oracleデータベースの実行に特化したコンピューティングとストレージを提供するシステムである「Exadata」をベースとした新たな製品も発表した。この「Exadata Express Cloud Service」は、従来のサービスをスケールダウンしたもので、月額175ドルから利用できる。Oracleはこの製品で中小企業をターゲットとしており、Daheb氏は「クラウドは規模による格差をなくすものだ」と述べている。
同社はほかにも、「Container Cloud Service」「Oracle Identity Cloud Service」「Oracle Internet of Things Cloud Service」「Big Data Cloud Services」「Oracle Analytics Cloud Services」などを始めとする19もの新しいクラウドサービスを発表した。
最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏は、Cotainer Cloud ServiceやOracle Identitiy Cloud Serviceなどが提供するセキュリティは、「オンプレミスデータセンターからクラウドデータセンターに移行する際のもっとも大きな課題かも知れない」と基調講演で述べている。
また、Oracleはビッグデータ関連のサービスも大幅に拡充している。例えば「Oracle Big Data Cloud Services」には、Apache Hadoop、Apache Spark、Apache Kafkaのほか、NoSQLのサポートが追加される。
「Oracle Analytics Cloud」は、任意のデバイスから、クラウド、オンプレミス、あるいはその両方のあらゆるデータを利用できるサービスだが、Analytics Cloudの新製品である「Oracle Essbase Cloud Service」は、スプレッドシートを用いた業務プロセスを、短時間で合理化されたコラボレーション作業モデルに変える。また、「Oracle Data Visualization Cloud Service」にも、データを解釈して自動的に知見を得ることができる機能が追加された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。