世界最大規模のエンタープライズ向けテクノロジイベントである「Oracle OpenWorld」の開催まで、あと数週間となった。もちろん、重要な発表はイベント開催まで手控えられているが、カンファレンスの膨大なオンラインセッションリストを見ているだけでも、顧客やパートナーが注目すべきポイントはある程度見えてくる。
人工知能:2016年のIT業界ではAI(人工知能)が大きな話題となっており、立て続けに買収が行われたり、新製品が発表されたりしている。これまで、この分野でのOracleの取り組みは、競合他社に比べ比較的少なかったが、あるセッションの説明を見る限り、今回のイベントで状況が大きく変わりそうだ。
(カンファレンスセッション7023)
消費者は映画を見たり、A地点からB地点まで運転したり、人に会ったりするために、日常的に「Netflix」「Uber」「eHarmony」などのサービスを利用している。しかし、これらのサービスが機械学習と人工知能に支えられていることはご存じだろうか?
Oracleは適応型インテリジェントアプリケーションと呼ばれる、機械学習を用いた新たなソリューションを導入し、こうした事例と同じ体験を企業に提供する。これらのソリューションでは、Oracleの「Data Cloud」や「Data Science」「Customer Experience Cloud」のアプリケーションから得られたウェブスケールのデータを組み合わせて、目的に合わせて作られた、すぐに使えるアプリケーションを提供する。
クラウドアプリ:毎年のOpenWorldで絶対に外せないセッションを1つ挙げるとすれば、アプリケーション部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるSteve Miranda氏のセッションだろう。同氏はOracleのクラウドアプリケーションのロードマップについて説明する予定で、顧客であるGE Digital、Pella Corporation、Profound Medicalの役員も登壇することになっている。Miranda氏は率直な物言いで知られており、同社のクラウドアプリケーションについて質問を抱えているはずの顧客と同氏が一緒に登壇するこのセッションは必見だ。
IaaS:OracleはSaaS、PaaS、IaaSというクラウドスタックの3つのレイヤすべてに参入しているが、クラウド事業の売上の大半を稼いでいるのは、SaaSとPaaSだ。
価格で競合他社に負けることはないと繰り返し述べてきた同社だが、IaaSを汎用サービスとして本気で提供しようとしているのか、単に既存顧客が「Amazon Web Services(AWS)」や「Azure」などの競合サービスに流れるのを阻止したいだけなのかどうかは明確ではない。