日本ヒューレット・パッカードは、次世代型データ分析基盤として、「HPE Vertica 8」を発表。10月5日から出荷を開始する。
「Verticaの全世界における昨年度の販売実績は、前年比2けた成長を遂げており、HPEのなかでも、最も成長が著しい製品になっている」(米ヒューレット パッカード エンタープライズ ビッグデータソリューション事業本部 HPE Vertica製品責任者のEamon O´Neil(イーモン・オニール氏)とする。
また、新たな機械学習クラウドサービスとして、「HPE Haven OnDemand Combinations」を発表した。開発者向けに機械学習APIをクラウドベースで提供することで、アプリケーション開発の迅速化を支援できるとした。
Vertica 8は、統合アーキテクチャの採用と、インデータベース分析機能の向上により、データの保管場所にかかわらず、大規模なデータにおいても、高いパフォーマンスを維持しながら、高度な解析を実施できるのが特徴。エンタープライズクラスのパフォーマンスとセキュリティを実現しているという。
同社では、「企業が直面している最大の課題は、データセンター内にサイロして格納されている複数のデータから、どのようにしてインテリジェンスを引き出すのかという点。Vertica 8は、その場で分析を可能にする独自の統合アーキテクチャにより、情報の格納場所に関係なく、継続的にインテリジェンスを抽出することが可能になる」とする。
Vertica 8のデプロイメントオプションを活用することで、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの環境を問わずにデータ分析が可能になるほか、Hadoopデータレイクにおいても、分析を実施する場所や手法を選んで、最適のソリューションを採用することができるとのこと。
さらに、データの移動および統合機能を強化。数100~数1000カラムへのデータロードが、最大700%まで高速化。AWS S3からの容易なデータロードや、Apache Kafkaデータストリームの包括的なビジュアルモニタリングなどを実現する。
そのほか、Verticaでは、インデータベースを適用した機械学習アルゴリズムの採用により、大規模なデータ向けに、Rベースの機械学習モデルをあらかじめ作成すれば、直接、Verticaに展開することが可能となり、高い精度で意思決定プロセスを加速することができるとしている。
また、VerticaのParquetとORC Readersにより、Hadoopデータレイクを活用できるため、Hadoopによる高い経済性と、安全なデータアクセスを分析ができるようにした。
さらに、Apache Sparkアダプタの最適化を図り、VerticaとSparkシステム間の高速なデータ連携を実現。小規模なデータのクエリにおいては、Spark内に堅牢な機械学習モデルを構築。大規模なデータ量のクエリにおいては、VerticaのインデータベースSQL分析を活用できる。
米ヒューレット パッカード エンタープライズ ビッグデータソリューション事業本部 HPE Vertica製品責任者のイーモン・オニール(Eamon O´Neill)氏
また、複数のクラウドにも対応。O´Neill氏は「AWS S3へのシームレスなアクセスと、セキュリティ強化を実現することで、AWSへの対応を強化した」とする一方、「過去6年間に渡ってAWSでの利用環境を提供してきたが、新たにMicrosoft Azureでも利用できるようにした。
さらに今後はGoogleなどでも利用できるようにする予定である。マルチクラウド対応とすることで、要望が高いクラウドの選択肢を提供できる。また、大きなスケールにおいても、パフォーマンスを出すことができるのが特徴。オープンソースとの連携も特徴としている」と語った。
AWS上での利用については、Verticaをそのままライセンスを持ち込んで利用できる仕組みとしており、価格は1TBで840万円(税別)としている。
なお、Azureでの利用は、2015年末に、ヒューレット パッカード エンタープライズ(HPE)とマイクロソフトが締結した戦略的合意に基づいたものであり、Microsoft Azure Marketplaceを通じて、Verticaの即時利用を可能にしている。
「Vertica 7ではダッシュボードを利用して、経営層などの利用が中心であったが、Vertica 8ではデータサイエンティストも加わり、利用層が拡大するだろう」(同氏)との見通しを示した。