Amazon Web ServicesとVMwareは米国時間2016年10月13日、両社が戦略的提携関係を結び、新しいハイブリッドクラウドサービスを提供することを発表した。
AWSの最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏(左)と、VMwareのCEOであるPat Gelsinger氏(右)
「VMWare Cloud on AWS」と名付けられたこのサービスは、AWSのクラウド上でVMwareが提供するエンタープライズ水準のSoftware-Defined Data Center(SDDC)を利用できるようにするものだ。このサービスを利用すると、顧客はパブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドの各環境をまたいでアプリケーションを実行することができる。このサービスは専用に構築されたAWSのベアメタルインフラ上で動作し、「VMware vSphere」「VMware Virtual SAN」「VMware NSX」をAWSのクラウド上で利用できるようにする。
AWSの最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は、以前は多くの顧客が、すでに所有しているインフラとVMwareのソフトウェアを使用し続けるか、パブリッククラウドに移行するかの二者択一を迫られていたと述べている。
「クラウドへ移行する企業が増えるにつれ、オンプレミスでそれまで利用していたソフトウェアや、インフラ、ツールを使えるようにして欲しいという要望も増えてきた」と同氏は言う。「ユーザーはオンプレミスで利用しているのと同じソフトウェアをAWSやクラウドでも利用したいと考えているが、そのためにハードウェアを購入したいとは思っておらず、ハードウェアのカスタマイズなどは論外だと思っている」(Jassy氏)
VMware Cloud on AWSは現在テクニカルプレビューの段階で、2017年の早い時期に招待制のベータサービスが開始される予定だ。VMwareがこのサービスの運用、管理、販売を行う。顧客は、開発者向けツールやアナリティクス、データベースなどのAWSサービスを利用できる。
VMwareは2016年2月にも、ハイブリッドクラウド導入を加速するため、IBMと同様の提携関係を結んでいる。
数年前のVMwareが、AWSと真っ向から敵対する方針を取っていたことを考えれば、今回の提携は注目に値する。VMwareのCEOであるPat Gelsinger氏は2013年に、VMwareのパートナーを集めたカンファレンスで、同社は「企業のワークロードを確保する」必要があると述べている。CRNの報道によれば、Gelsinger氏はパートナーに対して、ワークロードがAmazonに奪われてしまえば負けであり、その後勝てる見込みはないと発言したという。
しかし現在では、パブリッククラウド市場でのAmazonの優位は動かせない状況になっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。