IDC Japanは10月20日、国内企業でのシステム運用管理実態に関するユーザー調査結果を発表した。8月に調査し、309社の有効回答を得ている。
システム運用管理での課題は「運用管理担当者のスキルが不足している」が32.0%で最も多く、次いで「運用管理の自動化ができていない」が30.7%、「システムの一元管理ができていない」が30.4%となった。過去4回の調査でも担当者のスキル不足は最も多い回答となっている。
スキル不足から運用管理の自動化や一元管理ができない状況を招いてしまっているということが考えられると説明。運用管理担当者のスキル不足は運用ミスを起こしやすく、障害やトラブルの増加につながっていくことが懸念されるとしている。
運用ミスによる障害やトラブルが発生する頻度(仮想サーバも含む、IDC Japan提供)
運用上のミスで障害やトラブルが発生する頻度も調査。ほぼ毎日が1.3%、週に数回程度が7.1%、月に数回程度が23.6%となり、合計32.0%の企業が毎月運用ミスによる障害やトラブルを経験していることが明らかになっている。
サーバの運用台数が100台以上になると、ほぼ毎日が2.6%、週に数回程度が12.1%、月に数回程度が29.3%となり、毎月障害やトラブルを経験している企業の割合が44.0%にまで上昇している。サーバの運用台数が多いと障害やトラブルの発生頻度が高くなっている傾向が示されている。
クラウドの管理での課題として、IaaSを利用している企業では「クラウドのサービスレベルが不安定である」が40.4%と最も多い回答となった。PaaSを利用している企業では「サービスのプロビジョニングが自動化できていない」が34.1%で最多。IaaSとPaaSの両方で上位の課題として挙がっているのが「利用前に試算したコストよりも高くなっている」で、それぞれ回答率が28.8%と25.0%になった。
IDCでは、運用管理担当者のスキル不足は深刻な課題であり、障害やトラブルの原因にもなるとしたうえで、クラウドサービス利用拡大に伴い、新たな運用管理の課題も浮き彫りになってくると指摘。今後については、IT業界全体を挙げて運用管理のスキルアップに向けて取り組むことが急務だとしている。