NRIセキュアテクノロジーズと米GEデジタルは11月8日、GEデジタルの業務を営む法人の1つであるカナダWurldtech Security TechnologiesとNRIセキュアが協業することで合意したと発表した。産業用制御システムの制御・運用技術におけるセキュリティ、すなわちOT(Operational Technology)セキュリティ分野において、日本国内における対策を支援する。
協業によりNRIセキュアは、Wurldtechの策定した産業用制御デバイスの認証プログラム「Achilles Certification(アキレス認証)」を提供する第三者機関となった。NRIセキュアとGEデジタルは今回の協業を通じて、産業用制御システムやIoTシステムのセキュリティ強化を検討する企業に対し、コンサルテーションからソリューションまでをワンストップで提供。ITセキュリティとOTセキュリティの両面で支援する。
IoT時代においては、「モノ」がネットワークに接続され、人間や社会に物理的な相互作用を及ぼすこととなり、そのセキュリティが重要となる。そのOTセキュリティにおいては、IT(情報技術)セキュリティで重要な“CIA”、すなわち機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)に加え、人や環境へ被害を及ばさないように対策する「安全(Safety)」が強く求められてくる。
今回の協業により提供しようとしているサービスの具体的な内容は以下の3つ。
- 制御システムに対するセキュリティコンサルティングサービス
- アキレス認証サービス
- 制御システムに特化したIPS OpShieldのセキュリティログ監視サービス(予定)
制御システムやIoTシステムを取り扱う、NRIセキュアとGEデジタル両社の顧客に対し、産業用制御システム・デバイスに関する「セキュリティ動向調査の実施と分析」「セキュリティ対策状況の第三者評価」「セキュリティガイドラインの作成」「セキュリティ対策に関する実行支援」などのコンサルティングサービスをNRIセキュアが提供。
これらのサービスにより、現行システムのセキュリティ評価・改善によるセキュリティレベルの向上や、新たなシステム導入時のセキュリティ設計・構築の品質向上・効率化を目指す。
NRIセキュアでは2011年より、組み込みデバイスを対象とした「デバイスセキュリティ診断」サービスを提供している。今回の協業により同社は、制御デバイスに関して世界的なセキュリティ認証プログラムとされるWurldtechの「Achilles Certification(アキレス認証)」を日本で行う初の第三者機関となった。
これにより、国内企業が同認証を取得するための支援が可能となる。また、制御デバイスに関して、より中立的で信頼性、秘匿性の高い認証サービスを行うため、検証ラボをNRIセキュアの施設内に設置する。
Wurldtechは、制御システムにおけるデータトラフィックをコマンドレベルで監視・制御するためのIPS(侵入防御システム)「OpShield」を提供している。現在NRIセキュアが提供している「セキュリティログ監視サービス」において、OpShieldのログに対応できるよう、検討を進めている。
ITネットワークとOTネットワークの境界ファイアウォールやその他機器のログ情報と、OpShieldから得られる情報を一元化し、GEデジタルが長年培ったOTセキュリティのノウハウとNRIセキュアのノウハウを組み合わせてセキュリティ監視を行うことにより、制御システムの安全で安定的な稼働を目指す。