データ処理にスーパーコンピュータを活用する業界が急速に増えつつあるなか、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)がますますメインストリームになってきている。
米ZDNetは、テキサス大学オースティン校のテキサス先端計算センター(TACC)でエグゼクティブディレクターを務めるDan Stanzione氏と、HPCの現状やサステナビリティ、使用形態、ユースケースについて話をする機会を得た。
その要点をまとめると以下の通りだ。
サステナビリティと、高電圧直流給電を採用したデータセンター
TACCで最も興味深いプロジェクトが「Hikari」(光)だ。日本の国立研究開発法人である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が出資しているこのプロジェクトは、NTTファシリティーズの高電圧直流(HVDC)給電システムとHewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE Apollo」シリーズを組み合わせたデータセンターの構築を実証するというものだ。HVDCを採用することで、交直変換(交流から直流への変換、または直流から交流への変換)の必要性を削減し、データセンターにおけるサステナビリティを向上させるのがその狙いだ。
Stanzione氏は「太陽光などの再生可能エネルギーの多く、そしてバッテリから取り出される電力は直流だ。このため、現状では変換に多大なコストがかかっている。太陽エネルギーをコンピュータで利用するには、交直変換を少なくとも4度行う必要がある」と述べた。
この他にも、ラックレベルや、再生可能エネルギー、HPEの「HPE Apollo 8000」システムによる効率化も図られている。Hikariは380VのHVDCとともに水冷式の冷却システムを採用している。Stanzione氏は、「われわれはHPCのサステナビリティを向上させる取り組みを実施しており、そのゴールは企業のデータセンターにも適用可能だという点を実証することだ」と述べた。Hikariでは約15%の電力消費量削減を目標にしている。
クラウドデータセンターの規模を考えた場合、15%という削減量は莫大な金額となって返ってくる。ただStanzione氏は、Hikariがどれだけ具体的な成果を出せるのかについて語るのは時期尚早だと付け加えた。
TACCが推進するプロジェクトで最も地球環境のことを考慮しているのが、高電圧直流(HVDC)給電を採用したHPCの実証を行う「Hikari」プロジェクトだ。