米ZDNet編集長Larryの独り言

NEDOらと共同で省エネデータセンター実証中--テキサス大TACC責任者が語るHPCの未来 - (page 2)

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-11-25 06:30

直流給電が企業環境にもたらされるまでにかかる時間

 まず、より多くのサーバベンダーが直流給電に対応したシステムを提供するとともに、システムの標準化が策定される必要もあるだろう。Stanzione氏は、直流給電にまつわる問題の解決に向けた標準化団体の取り組みとともに、Teslaが目指しているような、企業内部におけるバッテリによる電力利用の推進という取り組みによっても直流給電がメインストリームに押し上げられていくと期待している。

 同氏は「新たなデータセンターが建設される際には、直流給電が前提となるだろう」と述べるとともに、「従来型のデータセンターでは交直変換のためのコストが発生する。最初から直流給電を採用する方が話はずっと簡単だ」と述べた。

HPC普及の原動力はソリューションに至るまでの時間

 複数のベンダーが企業におけるHPCについて語る際、基本となるCPU性能ではなく、システムが実現可能なことについて説明しているという点をStanzione氏に述べたところ、同氏はソリューションに至るまでの時間が常に重要な指標となっており、HPCを推進する原動力になっている点を指摘した。いずれにせよソリューションに至るまでの時間という考え方が主流になっており、それが重要な変化だと言えるだろう。

 Stanzione氏は「こういった変化がもたらされたのは、ピーク時の性能測定がもはや簡単ではなくなったためだ」と述べるとともに、「ハードウェアとハイエンドのチップにより、ピーク時の性能測定が難しくなっている。実際に手に入れたいのは能力なのだ。つまり、マシンの購入によって、問題をどれだけ早く解決できるようになるのかということが重要なのだ」と述べた。

 そしてさらに多くの企業がHPCを導入するようになれば、CPU性能よりもソリューションに至るまでの時間が重要視されるという流れも加速されるはずだ。

HPC市場の今後の変化

 Stanzione氏によると、最大の変化はHPCを使用する分野にあるという。過去を振り返って見た場合、TACCは大規模なシミュレーションを必要とする、石油及びガスや、航空機、自動車製造といった分野の企業と連携してきている。

 同氏は「ここ最近、シミュレーションは単に大規模な物理解析のためだけのものではなくなってきている」と述べるとともに、「生命科学やヘルス、製薬といった分野はすべて、患者データや遺伝子データのマイニングを実施している。また企業の分析部門は、顧客データを分析するためにHPCを利用している」と述べた。

 「われわれは物理科学のためにHPCを使用してきた。しかし現在では、大規模データ分析にまつわる問題でFacebookや金融機関と話を進めている。モデル化できる対象は数多くある」(Stanzione氏)

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