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「AIと決済」を制するものが勝つ--西脇氏、砂金氏、小島氏が語る未来 - (page 2)

阿久津良和 羽野三千世 (編集部)

2016-11-17 07:30

クラウド提案で言われたキツかったひと言

西脇氏 私たちは顧客にクラウドソリューションを提案してきましたが、その中で、これまでに言われたキツい一言を教えてください。

砂金氏 会場に身内が多いので該当者がいると困るのですが、「俺の売り上げをどうしてくれんだ!」ですね。敵はお客様ではなく身内です(笑)

 以前、とある大きな案件があり、商談が進む中で顧客が「クラウドに興味がある」とおっしゃっていたので、この要件ならクラウドでコストダウンできるとお伝えし、結果クラウドの採用に至りました。お客様もわれわれも幸せになりますが、喜ばない人もいるんですよね。その期に売り上げが立つことが決まっていたMSの営業やOEMの営業から一斉に刺されました。


「俺の売り上げをどうしてくれんだ!」

西脇氏 売り上げはどうにもならない?

砂金氏 ならないです。

西脇氏 それはよくないですよ。喜ばない人たちにとって、そのクラウドは困る世界です。

砂金氏 オンプレ大好きな皆さんは、クラウドを提案すると売り上げが下がると考えがちです。

小島氏 ストックベース(累積の数字)とフローベース(期間内の数字)を混在させていますよね。例えばAWSJは年率60%で成長していますが、あれは前期の売り上げがあるから。ある分岐点を超えると成長し続けることになります。

西脇氏 誰かがビジョンを描くか、お手本を見せるなどして、売り上げの考え方を整えてあげないといけない。

砂金氏 それを初期のSalesforce.comとAWSJは上手くやっていましたが、MSは既存のビジネスがあるから難しかった。

西脇氏 小島さんが言われたキツい一言は?

小島氏 よく言われたのはこれですね。「本屋のサーバ」。テクノロジ的に低く見られるらしく、一度耳を塞いだ人を変えるのは難しい。どんな説明をしても、「でも本屋のサーバだよね」と言われてしまう。なので、「なぜAmazonがAWSをやっているのか」といった資料を多く作りました。

西脇氏 なるほど。耳を塞いだ人を再考させた一言は?

小島氏 結局は事例。AWSJの初期にお付き合いしていたお客様の事例を見えるようにしました。

砂金氏 社外のエバンジェリストの存在も大きかったかもしれませんね。例えば、NTTドコモの栄藤(稔)さんがAWSを売って歩いていた時代がありました。

小島氏 そうですね。耳を塞いでしまうのは相手がベンダーだからかも知れません。隣の同業者などから「Amazonいいよ」と言われれば耳を傾けてくれるので、カスタマー to カスタマーや、デベロッパー to デベロッパーが効果的です。


「本屋のサーバ」

正直オンプレミスがよかった案件もある?

西脇氏 クラウドビジネスばかりやってきましたが、ここで聞きたいのは“実際オンプレミスで十分”という案件があったか、○×でお答え下さい。

 --- 砂金氏と小島氏は「○」を挙げた。

小島氏 単なるサブシステムやファイルサーバをクラウドに移行しても意味がありません。例えば処理系はクラウドにあっても、データベースは社内あるとレイテンシが大きくなってしまう。結局すべてを移行させないと意味がありません。

西脇氏 昔はよくレイテンシが問題視されましたね。最近は聞かなくなりましたが。

砂金氏 初期のクラウドはレイテンシやデータベース性能が求められる案件に対して、どう頑張っても難しかった。

西脇氏 当時は性能を求めるならオンプレを提案するのも1つの選択肢でしたね。

小島氏 先ほども言いましたが全部クラウドに持って行けば解決します。分断部分を間違えると誰も幸せになりません。

西脇氏 でも、現実的には難しいのでは?

小島氏 用途です。データグラビティ(データが集まることで他のデータが引き寄せられる力)という言葉がありますが、データをクラウドに上げてしまえば、アプリケーションが吸い寄せられていきます。この世界が実現されつつあると思います。

西脇氏 現在のクラウドはインテリジェンスになっているので、アーキテクチャを上手に設計する時代ですね。要素技術はMSも積極的に情報を提供しているので、皆さんがそのピースをどう設計するか考えていただきたい。それをクラウドベンダーにフィードバックしてくれると、もっと活性化していくと思います。

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