本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NECの新野隆 代表取締役執行役員社長兼CEOと、日本オラクルの山本恭典 執行役員の発言を紹介する。
「先進のAI技術やGEと提携したIoT事業によって成長軌道に弾みをつけたい」 (NEC 新野隆 代表取締役執行役員社長兼CEO)
NECの新野隆 代表取締役執行役員社長兼CEO
NECが先ごろ、2016年度第2四半期(2016年7~9月)決算と、今年4月に発表した2016年度から2018年度までの中期経営計画の進ちょく状況について記者説明会を開いた。新野氏の冒頭の発言はその会見で、中期経営計画の進ちょくとして、今秋に新たな取り組みを発表したAI(人工知能)技術とIoT(Internet of Things)事業について言及したものである。
NECは中期経営計画において、「成長軌道への回帰」として「社会ソリューション事業のグローバル化」を掲げるとともに、同社の強みを生かせる「セーフティ事業」「グローバルキャリア向けネットワーク事業」「リテール向けITサービス事業」の3つを注力事業として選定し、リソースを集中することを公表している。
新野氏は今回の会見においてその進ちょくについて説明した中で、今後ビジネス全体に幅広く影響してくる可能性が高いAI技術とIoT事業において、今秋にそれぞれ新たな取り組みを発表したことから、その内容について特に言及した。
まず、AI技術については、9月に「NEC the WISE」というブランドを策定。また、AIを活用した将来の社会価値創出に向けた“共創”として、大阪大学と「ポストディープラーニングを実現する脳型情報処理アーキテクチャの確立」、産業総合研究所と「データ蓄積が少ない場合でもシミュレーションとAIを融合して人の意思決定を支援」、東京大学と「脳・神経系を模倣した超低消費電力AI処理プラットフォームの研究」などに取り組んでいる。
一方、IoT事業については、10月に米General Electric(GE)と包括的提携を結んだ。新野氏によると、提携内容の柱は「IoTエコシステムの実現」「両社の技術の融合によるIoT分野での新たな価値創造」「GEの産業向けプラットフォームであるPREDIXのサポート・トレーニング体制の拡充」「ITとOT(オペレーションテクノロジー)におけるサイバーセキュリティ領域のソリューション開発・マーケティング推進」の4つ。こうした取り組みにより、同氏は「日本企業向けIoTソリューションの開発・導入・運用保守に至る一貫した体制を構築していきたい」と強調した。
「Revolutionizing Industry Together」を掲げたNECとGEの提携会見(10月26日撮影)