調査

2017年における金融サービス分野の動向--フォレスター予測

Peter Wannemacher (Forrester Research) 翻訳校正: 編集部

2016-12-07 06:00

 冬のヒットソングでも歌われているように、1年で最も素晴らしい時期が到来した。Forrester Researchが翌年の予測を発表する時期である。以下では、2017年に世界の金融サービス分野で起こると考えられる変化を解説する。

 大手企業がカスタマージャーニーの改善に注力する一方、後れを取っている企業は目新しいテクノロジに惑わされてしまうことになるだろう。また、業務におけるデジタル変革を積極的に受け入れている金融機関と、既存のやり方を踏襲する金融機関との間には差が出てくる。この差は、大手企業が顧客の獲得やサポート、引き留めを目的とした新たな方法を試すなかで、どんどん広がっていくとForresterは予測している。Forresterは2017年の予測として以下を挙げている。

大手プロバイダとフィンテック企業がエコシステムの構築に向けて提携する。ダイナミックで価値のあるエコシステムは、垂直統合された既存の金融企業が、従来のバリューチェーンに固執する場合には脅威となる。しかしこのエコシステムは、自らの役割を、ひいては顧客の日々の活動における役割を慎重に検討する金融プロバイダには好機をもたらす。 スペインの大手銀行グループであるBBVAのような先駆的な金融プロバイダは、OnDeckのようなフィンテック企業とともにエコシステムを構築している。2017年には、より多くの大手企業が、ダイナミックで価値のあるエコシステムを構築するとForresterは予測している。

新たな決済サービス指令(PSD2)をはじめとする規制の影響が世界に波及する。欧州の金融機関及び決済企業は、欧州連合(EU)が策定した決済サービス指令(PSD)の第2段階となるPSD2への準備に2017年の大半を費やすだろう。EU域内のプロバイダは、規制に準拠したAPIを用いて、こういった混乱にも負けずにイノベーションを起こそうとするはずだ。その一方でEU域外の企業は、イノベーションを起こし、より多くのオープンなAPIへのアクセスを実現し、リアルタイムの決済システムに向けた移行を進めながら、その状況を注視していくことになる。

既存企業は新たなビジネスモデルを模索するものの、行動が伴うことはほとんどない。金融サービス分野の経営陣の多くは、持続的な成長と長期にわたる成功のためにはビジネスの変革が必要だと認識しているが、根本的な改革に向けて行動に移している企業はほとんどない。2017年には、一部の先駆的な企業が、新たなサービスモデルや新たな収益の流れ、新たなビジネスモデルの実験を進めることで、変化の兆しが見えてくるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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