Microsoftは、デスクトップ向けのWindows 10を、QualcommのARMプロセッサで利用できるようにする構想を発表した。
おまけに、このARM向けWindows 10には、x86/Win32用に開発されたアプリケーションを実行するためのエミュレーション層を追加するという(これは先日の記事で言及した「Cobalt」と呼ばれるテクノロジだ)。
このニュースは現地時間12月8日に、中国で開催されたOEMパートナー向けのカンファレンス「Windows Hardware Engineering Community(WinHEC) 」で発表されたものだ。Microsoftはこのカンファレンスで、Qualcommの「Snapdragon 820」プロセッサで動作するWindows 10のデモを行った。
Microsoftは現在、ARMベースのスマートフォン向けWindows 10である、「Windows 10 Mobile」を提供している。また2012年には、ARMプロセッサ(NVIDIAのTegra)向けのWindows 8を「Windows RT」としてリリースしている。
Windows RTは同社の最初の「Surface」である「Surface RT」のOSに使用された。Windows RTにはいくつかの重大な制約があり、普及には至らなかった。制約の1つは、x86/Win32用のアプリケーションが動作しなかったことだ。もう1つ問題だったのは、Windows RTにはWindows 8の一部の機能しか搭載されていなかったことだろう。Active Directoryのドメインに参加する機能もなく、グループポリシーにも対応しておらず、VHDからの起動も、リモートデスクトップのホスト機能も、BitLockerもサポートされていなかった。
今回発表されたARM向けWindows 10は、Windows RTではない。これは、ARMプロセッサでネイティブに動作するようコンパイルされた、フルバージョンのWindows 10だ。もちろんUniversal Windows Platformアプリも実行できるが、エミュレーションによってWin32のアプリケーションも使える。Microsoftによれば、現在のWindows 10でサポートされている既存の周辺機器やエンタープライズ向け機能は、ARM向けWindows 10でも利用できるという。
MicrosoftはARM向けWindows 10のリリース時期について、2017年と説明している。情報筋によれば、エミュレーション技術であるCobaltは、2017年秋にリリース予定のRedstone 3で追加される見込みだという。ARM向けWindows 10も、同じく2017年秋にリリースされるのかもしれない。
もう1つの大きな疑問は、これがWintel体制の終わりを意味するのかということだ。その答えはノーだろう。
市場に出回っている汎用のWindows 10 PCはすべてIntelベースだ。MicrosoftはIntelと拡張現実や仮想現実、ハイエンドゲーミングPCなどの分野で協力を続けており、同じカンファレンスで発表された「Project Evo」など、新しい取り組みも進められている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。