調査

どんなIT施策を打つべきか--ノークリサーチが統計的分析サービス

NO BUDGET 2017年01月23日 15時22分

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 ノークリサーチは1月16日、個別市場調査サービス「カスタムリサーチ」に加えて、複数の統計的手法を組み合わせ、IT活用施策に関して定量的に探索、予測する追加オプション「カスタムリサーチ・プラス」の提供を開始したと発表した。その実施事例として、IoTソリューション訴求策の探索と予測例を公表している。

 同社では年刊調査レポートに加えて、IT企業の個別ニーズに応じてウェブアンケート調査の設計/実施/集計/分析を行うカスタムリサーチを以前から提供している。カスタムリサーチはアンケート結果のクロス集計を主体とした分析だが、変化の激しいユーザー企業のニーズを的確にとらえ、有効な施策を提言するためにはさらなる手法の改善が必要となっていたとする。

 新たに提供を開始したカスタムリサーチプラスでは、幾つかの統計的な手法を組み合わせることで、カスタムリサーチの結果を基に、どのような施策を採るべきかといった判断に役立つ定量的な分析結果を得ることが可能とのこと。

  • 『ある施策を実施した場合とそうでない場合で、ユーザー企業のソリューション導入意向はそれぞれ何パーセントになるか?』
  • 『先行ユーザー企業の状況を踏まえた場合、期待される投資金額は何パーセントの確率でどれだけの金額範囲になるか?』

カスタムリサーチ・プラスの流れ

カスタムリサーチ・プラスの手法によるIoT活用分析サンプル

 ノークリサーチでは今回、カスタムリサーチ・プラスの「2016年版 スマートデバイス/PCから見たIoT活用の実態と展望レポート」に収録された「製造業を主な対象としたIoT活用」の調査データにカスタムリサーチプラスの分析を応用したサンプルも用意している。以下に概略を紹介する。

 まず準備段階として、「階層クラスタ分析による顧客層分類」と「主成分分析によるニーズ傾向分類」を実施する。前者では、いくつかの選択肢の中から、今回は各属性値の差を二乗して合算する「平方Euclid距離」と、ある2つのクラスタを融合させる場合に融合前と融合後のデータ分散変化が最小となるようにする方法「Ward法」を組み合わせて実施した。


Cluster Dendrogram(左)とクラスタ構成比(右)

 続いて実施する主成分分析は、データが示すさまざまな傾向を説明する幾つかの「新たな軸(=主成分)」を見つけ出す手法。第1主成分(PC1)~第4主成分(PC4)の中から2つを選び、それぞれを横軸/縦軸にとった場合に年商、業種、地域、PS1S~PS4S(4つに分けたIoT活用シーンそれぞれの投資意向)、PItem1~PItem15(ニーズ関連項目のうち主なもの5種)のそれぞれを表すベクトルをプロットしたのが下の図だ。


主成分分析によるプロット

 続く分析段階も2段階のステップ。まずは「ベイジアンネットワーク」による有効施策の探索をする。ベイジアンネットワークとは、確率変数が割り当てられたノードとエッジによって表現される有向非巡回グラフ(各エッジに向きが付いており、あるノードからグラフをたどった時に元のノードに戻らない)と、ノード間に定義された条件付き確率によって表現される確率推論モデル。


ベイジアンネットワーク図(Hill-Climbingアルゴリズムによるプロット)

 それをプロットしたものが上の図で、矢印の向きは元となるノードが示す属性の確率が先にあるノードの属性に条件付き確率として影響を与えている(ある種の因果関係のようなもの)ことを示す。「PItem1.製造装置の予防保守よりも製造工程の効率化/省力化の方が重要」(赤丸)からはPSIS、PS3S、PS4Sにエッジが引かれており、PItem1が複数のIoT活用シーンへの投資意向に影響を与える重要な項目であることが分かる。

 この図や各IoT活用シーンにおける投資意向の割合を組み合わせて整理していくと、『「PS1.複数の企業をまたいだ稼動状況の共有」というIoT活用シーンに自社単独で投資する企業の割合は現時点で7.9%だが、製造工程の効率化/省力化の重要性を認識させることができれば17.4%まで高められる。ただし、訴求対象となるユーザー企業の2割が既に製造装置の安定稼動に取り組んでいることが前提となる』といった結果が得られる。

 分析の第2ステップでは、「ベイズ推定」を用いて投資金額を予測する。IoTのような新たなIT活用分野は変化も激しいため、投資金額を単純に平均しただけでは確からしさを判断しづらい。こうした場合に有効な手法がMCMC法(Markov Chain Monte Carlo Method)を用いたベイズ推定だ。

 MCMC法によるベイズ推定にはいくつかの方法があり、今回はRandom Walk Metropolis法を用いて分析を実施。今回は、元データから、4つのIoT活用シーンに対する投資金額についての回答や、先行ユーザー企業のデータも用いている。最終的に導き出した分布パターンは下図のようになった。


 累積分布では55%点が915万円、75%点が1852万円となっている。つまり投資額がこれらの間(75%~55%)に入る企業の割合は全体の2割となる。この結果を踏まえると、『このSI企業における先行ユーザ=企業5社の平均投資額は1140万円だが、今後期待される平均値は1795万円であり、全体の2割は915万円~1852万円の投資額となる』といった結果が得られる。

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