レッドハットは1月27日、米Red Hatが2016年6月に買収したスペイン企業3scale NetworksのWeb API管理ソフト「Red Hat 3scale API Management Platform」について、国内での販売を開始した。企業が既存システムをWeb API化して公開する際に、Web APIへのアクセス制御や流量制御、課金といった管理ができるようになる。
Web API管理製品の大まかな目的は、Web APIを安全に公開することと、Web APIの利用状況を計測することだ(図1)。権限のないユーザーのアクセスを制限したり、誰が何回アクセスしたのかを計測したり、課金機能を提供したりする。「API管理は、レッドハットに足りないピースだった」と、レッドハットのプロダクト・ソリューション本部で本部長を務める岡下浩明氏は意義を説明する。
図1.Web API管理の主な内容は、アクセス制御などによってWeb APIを安全に公開することと、Web APIの利用状況を計測・課金すること
「企業にはSoR(記録システム)のようなレガシーシステムが散在している。これらをWeb API化すれば、既存のビジネスを生かしながら、新しいビジネスを始められる。API管理製品を使えば、APIを安全に公開できる」(岡下氏)
Red Hat 3scale API Management Platformの製品構成。Web APIのゲートウェイソフトと、管理ソフトで構成する。管理ソフトはSaaS版とオンプレミス版がある
製品の構成要素は2つある(図2)。(1)「API Gateway」は、Web API化した情報システムの手前に配置してWeb APIへのアクセスを中継するHTTPプロキシゲートウェイソフト。(2)「API Management Server」は、Web APIのアクセス制御ポリシーやアクセス状況を管理する管理ソフトだ。
レッドハット プロダクト・ソリューション本部 本部長 岡下浩明氏
(1)のAPI Gatewayは、ユーザー企業側に配置して使う。ベース部分にHTTPプロキシサーバソフト「Nginx」を使っており、通常のソフトウェアとしての提供のほか、Dockerコンテナのイメージとしても提供する。(2)のAPI Management Serverは、AWS上で動作しているSaaS版と、ユーザー企業側に導入できるオンプレミス版がある。
まずは今回、SaaS版の販売を開始した。オンプレミス版は2017年第2四半期に提供する予定だ。SaaS版の販売価格(税別)は、5種類までの異なるWeb APIグループ、1日当たり100万件までのAPIアクセスから成る最小構成で、年額468万円から。国内では、金融(FinTech)企業やIoT企業などを皮切りに、初年度20ユーザーを目指す。