本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レッドハットの望月弘一 代表取締役社長と、トレンドマイクロの岡本勝之 セキュリティエバンジェリストの発言を紹介する。
「成長期に入ったデジタル変革にどう挑戦していくかがこれから問われる」 (レッドハット 望月弘一 代表取締役社長)
レッドハットの望月弘一 代表取締役社長
レッドハットが先ごろ、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。望月氏の冒頭の発言はその会見で、企業のデジタル変革についての認識を述べたものである。
望月氏はまず、米Red Hatが先ごろ発表した2017年度第3四半期(2016年9月~11月)の売上高が前年同期比17%増となり、59四半期連続で伸長したことを報告。地域別ではアジアが同25%増と好調に推移し、日本のみの業績は公表していないものの、「おおむねアジア地域と同様の伸長率だった」と説明した。
望月氏は2017年のIT市場動向について「デジタル変革時代の黎明期から成長期への挑戦の年」と見据え、「当社はそうしたデジタル変革に挑戦する企業の取り組みを、オープンソース技術をフル活用して支援していきたい」との決意を語った。冒頭の発言はこれらのコメントのエッセンスである。
レッドハットでは、企業がデジタル変革による成長戦略を描くうえで「次世代のIT環境」「新しいアイデアの早期発見」「継続的なサービス改善」といった3つの取り組みが重要だとし、それぞれへの支援策を2018年度(2017年3月~2018年2月)の重点戦略としている。
具体的には、次世代のIT環境に向けては「プライベートクラウド導入とパブリック/ハイブリッドクラウド活用を促進」、新しいアイデアの早期発見に向けては「IoT(Internet of Things)・モバイル・API活用の提案を強化」、継続的なサービス改善に向けては「DevOps(開発と運用の連携)およびコンテナプラットフォームの導入を促進」といった取り組みで、それぞれの詳細は図に示した内容となっている。
レッドハットにおける2018年度の重点戦略