調査

ミレニアル世代の楽観主義に変化--デロイト調査

NO BUDGET

2017-02-25 07:30

 デロイトは2月13日、「第6回ミレニアル年次調査」の結果を発表した。将来見通しに楽観的だった2000年以降に成人、あるいは社会人になった世代の人たちに変化が起きていることが分かった。

 ミレニアル世代は、自身の将来見通しに対して疑問を持つようになっており、多国籍企業が社会の直面する困難の解決にもっと取り組むことを望んでいるという。また、この世代は、柔軟な勤務形態で働く人の方が、パフォーマンス、ロイヤルティ、信頼がより高いことも分かった。

 この調査は、世界30カ国、約8000人のミレニアル世代を対象として実施したもの。1982年以降生まれで、単科大学または総合大学の学位を取得しており、主として民間の大企業でフルタイムで働いてきたという条件を満たした回答者のみを対象にしている。

 自身の将来見通しについては、新興市場のミレニアル世代の多くは「自分は、両親よりも経済的に豊かになる」(71%)と考え、「精神面でも幸せになる」(62%)と期待している。先進国など成熟市場では、「自分が両親よりも経済的に豊かになる」と回答したミレニアル世代は36%で、「両親より幸福になる」と回答した割合は31%だった。

 成熟市場で「両親よりも豊かで幸福になると」と過半数が回答した国は米国のみで、調査対象国全体を見て「両親よりも幸福になる」との回答が過半数を超えたのは、30カ国中11カ国だった。

 また、仕事については、フリーランスやコンサルタントとして働くことに対して、「さまざまな業界で働く機会があり、新たなスキルの習得や海外出張や海外勤務の可能性など幅広いメリットがある」と認識している一方で、全体の3分の2近くの回答者が、「フリーランスやコンサルタントになるより、一般企業にフルタイムで雇用される方が望ましい」と回答している。同調査では、18分野の個人的不安要素を挙げているが、失業は3番目に多い回答となった。

 さらに半数以上の回答者が、慈善活動や大義のために貢献する機会が、職場で提供されていると答え、「企業は倫理的に振る舞っており、企業の指導者は社会の向上に取り組んでいる」と考える回答者は、3年連続で増加している。

 また「企業は純然たる利益第一主義であり、自らの利益追求のためには社会に対してほとんど配慮を示さない」と感じている回答者は減少しているという。10人中6人が、自分たちにとって最大の懸念となっている諸課題を解決していく上で、多国籍企業は良い影響を及ぼしてきたと答え、大規模組織は、現状よりもはるかに大きな貢献が果たせるはずであると考えているという。

 パフォーマンス、ロイヤルティ、信頼については、84%の回答者が、柔軟な勤務形態が職場にある程度導入されていると答え、39%が、柔軟性が高い労働環境であると答えている。さらに、柔軟性が高い組織で働く回答者は、より制約の大きい組織で働く回答者よりも、雇用者に対するロイヤルティがはるかに高く、柔軟な勤務形態が業績にプラスの影響を与えると考える割合も2.5倍多くなっているという。

 これらの回答者の75%は、同僚も同じ勤務形態で誠意を持って働いているとの信頼を示しており、78%が直属の上司に信頼されていると感じると答えている。

 このほか、同調査では、職場のオートメーション化の脅威についても聞いている。40%の回答者が、自分の仕事にとってオートメーション化は脅威であると考え、44%は自分のスキルに対するニーズが低下すると考えているという。また、大多数は自身の再訓練が必要と考え、53%は職場において人間味や人間らしさが減ると答えている。

 しかし、職場のオートメーション化を付加価値活動あるいはクリエイティブな活動の機会や、新たなスキルを習得する機会を提供するものと見なしている回答者も多くいるとしている。また、現在18歳以下のZ世代に対しては、ミレニアル世代の10人中6人が、職場でのZ世代の存在感が大きくなれば、プラスの影響があると考えている。そのように考えるミレニアル世代の割合は、成熟市場(52%)よりも新興市場(70%)の方がより高くなっている。

 デロイトでは、今回の結果について、企業が強い目的意識を示すことは、離職防止以外のメリットもあるとする。大義ある目的に貢献する機会を与えられている回答者の方が、自国の社会的・政治的状況の全般に対して悲観的ではなく、引いては企業の行動に対しても、前向きな意見を持っていると解説している。

 また、企業が社会に対してさらに貢献することにより、ミレニアル世代が抱く悲観論に応えることができるとし、彼らを雇用する企業には、そうする義務があると指摘した。

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