産学連携の新世紀

“人間よりいい”手術支援をロボットで実現--リバーフィールド - (page 3)

飯田樹 2017年03月16日 07時00分

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--今扱っている製品のメインは手術支援ロボットでしょうか。

 事業化のメインは手術支援ロボットですが、先行製品として「EMARO」という腹腔鏡手術に使う内視鏡ホルダーの機械を発売しています。手術で執刀医と助手の他にカメラを持つスコピストの役割を果たすロボットです。

 執刀医がペダルを踏んで頭を動かすことで、見たい位置にカメラを持っていける仕組みです。執刀医自らが術野をコントロールできるのが一番の売りで、両手に持っている器具を手放す必要もありません。

 人間が持った場合と違い、静止しているのが良いという反響もいただいています。リアルタイムかつ直感的な操作性や、空気圧ならではの動きの滑らかさも評判です。精密な位置を決めたい用途では電動駆動が有利ですが、「このあたりを見たい」「動きの柔らかさを生かしたい」という場合に、空気圧は適しています。

 ちなみに、「EMARO」は次世代の手術支援ロボットにそのまま組み込まれるというわけではなく、要素技術は活かしつつも、手術支援ロボットに組み込む際には最適な形にしていく予定です。


--手術支援ロボットの定義を改めてお伺いできますか。

 手術支援ロボットというのは正確に定義された用語はなく、手術中にお医さんを高度にアシストする機械として使うものは、すべて手術支援ロボットであると言えます。ただし私たちが「手術支援ロボット」と言う場合は切る、縫うといった手術手技を、医師の操作に基づいて精密に実施できるマニピュレータ(工業用ロボット)システムのことを指します。この、狭義の手術支援ロボットの意味からすると、内視鏡ロボット「EMARO」はカメラを持っているだけなので、手術支援ロボットではないと言うこともできます。

--他の企業と一緒に研究開発をする予定はありますか。

 他社でもこのような機器はアグレッシブに開発されているので、スピード感が重要になっています。製品化の各要素技術で得意なリソースをお持ちの企業とのオープンイノベーションによって開発期間とコストを下げ、製品投入までのスピード感を最大化する取り組みは、積極的に展開していく予定です。

 アライアンスを組んでいきやすい分野としては、3つあります。1つめはメカトロニクスの分野です。空気圧の部分は弊社でカバーできるので、ロボット技術のノウハウがあり、電動ロボットアームや多重度ロボットアームの設計ができる企業ですね。2つめは医療機器で、内視鏡や電気メスなどの処置具の設計製造が得意な企業です。

 また、次世代のアイデアとしては、ロボットに乗るソフトウェアがいかにインテリジェントかによって、付加価値が生じてくると考えています。手術データは正確にログとして残るため、執刀医をよりインテリジェントに支援できる機能を備えるという進化の方向もあります。そういう意味で、IoTやAIなどの情報テクノロジ関係をキーワードに持つ企業ともご一緒したいです。

--これからリバーフィールドとして、どのようなことを目指していますか。

 メインのミッションは、内視鏡ホルダーや術者の手にあたるロボットアームを複数持った、フルシステムの手術支援ロボットを世に出すことです。そのためには、資金の調達や開発体制をより強固にして、事業を進捗させていくことに尽きると思います。空気圧駆動を使うことで、ロボットの構造がシンプルかつ小型で軽量になるため、患者さんの近くのスペースを専有せず、ポータビリティも高まります。

 既存の手術支援ロボットは大きくて重い傾向があり、手術室間の移動が難しいなど、日本では運用性が低い部分があると認識しています。コンパクト化や省コストを実現しつつ、力覚提示機能など付加価値の高い手術支援ロボットを提供することで、普及するだろうと期待しています。

飯田樹(編集者/ライター)
国際基督教大学教養学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。西欧政治思想史、 現代政治理論を専攻。
株式会社マイナビにてニュースサイト「マイナビニュース」の編集記者、ウェブメディア運営企業などを経験。 各種媒体での取材・執筆・編集、冊子の編集、進行管理、校正、広報誌/広報サイトの編集、プレスリリース作成、 SNS運用などを手がける。分野は、働き方・キャリア、社会、マネー、教育など。
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