Veritas TechnologiesのBill Coleman最高経営責任者(CEO)
Veritas TechnologiesのBill Coleman最高経営責任者(CEO)は2月28日、都内で記者会見を開き、2016年にSymantecから分社して以降の同社の経営戦略を説明した。バックアップソフトから情報管理ベンダーへ転身に向けた施策を語った。
同社は2015年に、Symantecからバックアップ・リカバリやストレージ管理などの事業を継承する形で分社・独立し、2016年第1四半期に本格始動した。旧BEA Systems(現Oracle)の創業者の1人としても知られるColeman氏は、新Veritasの独立時にCEOに就任している。
独立時の状況についてColeman氏は、「レガシーデータセンターにとってはベストなソリューションを提供できる立場にあったが、企業のデジタル変革が叫ばれる時代にあっては、有力なソリューションを持ち合わせていなかった」と振り返る。
Veritasは、Symantec時代を含めてNetBackupやBackup Execなど異種混在環境に対応するバックアップソリューションの提供に強みがあった。ただ、この間に企業システムのクラウド化やビッグデータ活用に代表されるビジネスの"デジタル変革"といった波が到来し、独立直後はこの変化へいち早く追従しなければならないというのが、同社の経営課題であったようだ。
Coleman氏は新たな経営戦略で、ITコストの最適化やコンプライアンスへの対応、データ保護、デジタル変革に向けた情報活用という企業ニーズに応える「情報管理ソリューションベンダー」への転身に注力してきた。製品戦略では従来製品を中核に、クラウド連携やデータの可視化、インテリジェンス、事業継続、アーカイビング、ソフトウェアデファインドストレージなどに対応できるプラットフォーム化を推進してきた。また、プラットフォームを活用してあらゆる企業データを管理・活用していく「360度データ管理」というコンセプトを掲げる。
今後は、従来のバックアップソリューションを中心とした事業を維持しつつ、クラウド化やデジタル変革への対応といった新規需要をどう取り込めるかが焦点になる。特にクラウド分野では、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureとの連携を相次いで打ち出す。
「エンタープライズ顧客の90%がクラウドへの移行を始めている。DevOpsへの対応は遅れているが、いずれ追従できるだろう。OracleやSAPなどのミッションクリティカルシステムの領域でもクラウド化が本格的に始まり、まずは引き合いの強いAWSやAzureへの対応を最優先にしている」(Coleman氏)
Coleman氏によれば、直近で新たなクラウドサービス事業者との協業を発表するほか、国や地域単位で有力なクラウドサービス事業者との協業も広げていく。新製品ではOpenStackに対応したソフトウェアデファインドストレージ管理の「Veritas HyperScale for OpenStack」を2017年第2四半期中に投入する。
Coleman氏は、「顧客のCIOと話しているが、企業のデジタル変革が意味するところは、ITシステムの変化ではなく、データを情報に変え、情報からビジネスモデルを変えていくことにあると感じる。Veritas Technologiesのデジタル変革とは、そのためのソリューションを顧客に提供することだ」と述べている。