日本ヒューレット・パッカード(HPE)は3月9日、小規模システム向けのPCサーバ新製品「HPE ProLiant Thin Micro TM200」(以下、TM200)を発表した。パートナー企業と展開するソリューションサービスの製品として発売する。
HPE ProLiant Thin Micro TM200
TM200は、幅254mm×高さ49.5mm×奥行き254mm、重量は2.83kgで、容積は一般的なスリム型サーバの4分の1程度という約3200立方ミリメートルのコンパクトモデル。CPUは4コアのインテル Xeon プロセッサ D-1518もしくは8コアの同D-1537を採用する。税別希望小売価格は、D-1518モデルが17万1000円、D-1537モデルが21万2000円。オプションで縦置き用のスタンドキットや壁掛け用のウォールマウントキット、容量8Tバイトおよび16Tバイトの拡張用ストレージボックスもラインアップする。
データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部長の本田昌和氏によると、TM200はクラウドとオンプレミスのハイブリッド環境で利用するソリューションのためのプラットフォーム製品という位置付けだ。企業ではシステムのクラウド化が進む一方、一部の業務システムはオンプレミスに残るため、TM200ではこうしたシステムでの利用もしくはクラウドへの対応を視野に入れている。
「フリースタイル」をうたうコンパクトサイズとなる
同本部の前田裕貴氏は、「ProLiantシリーズでは最小モデルとなり、利用シーンに応じた設置ができるフリースタイルが特徴。ProLiantサーバ共通のパーツや管理チップを採用することで、信頼性や管理のしやすさを実現した」と説明する。
TM200は単品販売も行われるが、基本的にはパートナー企業が開発するソリューションサービスの基盤としての利用が中心だ。エンタープライズアカウント営業統括本部長の佐藤真人氏は、「HPEとパートナー企業による『IT EcoSystem』を通じてTM200を利用したソリューションを開発していく」と話す。同日時点でIT EcoSystem参加企業のうち22社がTM200を使ったソリューションを開発すると表明。HPEもパートナー企業の開発や販売を支援する「TM200ソリューションコミュニティ」を立ち上げた。
前田氏は、TM200を利用したソリューション例として、クラウド環境に対応したバックアップサービス、データセンター事業者のマネージドサービスの端末、認証やファイアウォールなどの機能を搭載したセキュリティゲートウェイアプライアンスを挙げる。佐藤氏は、今後1年間で50種類程度のソリューションサービスを開発したいとしている。
PCサーバは、中堅・中小企業の業務システムで広く利用されているが、IT調査各社の市場統計によれば、近年はSaaSなどの拡大でハードウェア出荷の減少が続く。本田氏によれば、オンプレミスとクラウドのハイブリッドなシステム環境ではシンプルさが求められるとし、同社はユーザーニーズに対応しやすいシンプルなサーバを提供することで、市場シェアを高める狙いがあるようだ。
下記はTM200の外観と説明会の資料スライド