Gartner Summit

アジャイルは短期間で判断せず根気よく長期で続けることが大事--ガートナーの片山氏

日川佳三 2017年03月31日 08時36分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 3月16日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2017」のセッションの1つとして、ガートナーのリサーチ部門でリサーチディレクターを務める片山治利氏が登壇。「調査結果に見るアジャイル開発成功のポイント」と題して講演した。

片山治利氏
ガートナー リサーチ部門 リサーチディレクター 片山治利氏

 講演では、国内のアプリケーション開発の実態について、ガートナーが2015年に実施して2016年5月にレポートを公開したユーザー調査「ITデマンド・リサーチ」から一部のデータを引用して説明した。

 まず、現在採用している開発手法について、(1)ウォータフォール型、(2)アジャイル型、(3)反復型、(4)IT部門が関与しないビジネス部門主導型、の4つについてグラフを見せた。

 最も採用率が高い開発手法はウォーターフォール型で33%が採用しているが、未採用だが採用を予定している率は1.9%と低い。一方、アジャイル型は16.6%しか採用していないが、採用予定は9.9%と高く、採用予定を含めると26.5%と、およそ4分の1がアジャイル開発に関心を持っている。

 1000人以上の大企業では、アジャイル開発への関心が高い。1000〜1999人の企業では48.5%がアジャイル開発に関心を持っており、2000人以上では56.8%がアジャイル開発に関心を持っている。これに対し、100人未満の企業では15.4%にとどまる。

 大企業でアジャイル開発に関心が高まる理由として片山氏は、「大企業は開発プロジェクトが多く、アジャイル開発が向くものが多い。ウォーターフォールだけでは対応仕切れない」と指摘する。一方、中小企業でアジャイル開発の関心が低い理由については、「外注に任せているので関心がないのかもしれない」とした。

 グローバルでの調査結果は、国内と大きく異なっている。会社内で採用している開発手法の比率では、ウォーターフォール型は45%と過半数に満たない。最も多いのはアジャイル型で37%を占める。アジャイル開発に特化したデータとしては、全体の26%の企業がアジャイル型をほとんどすべての開発に適用している。

アジャイル開発を始めたら、根気よく続けることが大事

 アジャイル開発の課題について調査したところ、「開発文化の変革」「従来の手法を使用するチーム作業」「一貫したプラクティスの策定」がトップ3となった。

 課題の1位である文化については、まずは始めることと、始めたあとは根気よく続けることが大切という。「アジャイル開発はトップダウンで始めるケースが多い。遅かれ早かれ、トップからやれと言われるようになる」(片山氏)。

 アジャイル開発を始めると、不平不満も出てくる。例えば、結果にコミットしないことへの不満、ユーザーが要件変更を出し続けることへの不満、失敗したら誰が責任をとるのか、といった不安などがある。

 アジャイルを続けるポイントは、長期で続けることだと片山氏は言う。「短期間で判断しないこと。アジャイル開発の合理性を根気よく説明し続けること。地道に取り組むことが大切」(片山氏)

 課題の2位と3位、プラクティスと手法の問題は、「固定」と「可変」の概念を変えることが大切であると片山氏は説く。「固定化するものと、可変のものを、入れ替える」(片山氏)

 「ウォーターフォール型は、要件を固定化して、要件を実現するために日程を変更したり増員を図ったりする。アジャイル開発は正反対で、決められた期限と人員の範囲内で、要件を柔軟に見直していく」(片山氏)

 アジャイルでは、もう1つ固定化すべきことがあるという。「プロジェクトのゴールを固定する。何をやろうとしているのか、何のためにやっているのかを固定し、このゴールをメンバー間で共有する」(同氏)

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
トランザクションの今昔物語
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
展望2017
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算