今は素早さが求められる時代だ。そのためには、テクノロジに関する取り組みを、スタートアップやインターネット企業のように変える必要がある。
McKinseyのSantiago Comella-Dorda氏とGerard Speksnijder氏は、最近公開されたPodcastで、同僚のRoberta Fusaro氏とこのテーマについて議論した。
Comella-Dorda氏とSpeksnijder氏は、開発者とビジネスユーザーが緊密に、速いペースで協力して開発に取り組み、ソフトウェアのリリースを頻繁に繰り返すアジャイル開発の難しさについて語った。「アジャイルの考え方は、小規模で部門横断的な自己完結型のチームが、提供するテクノロジを素早く漸進的に改善していくというものだ」とComella-Dorda氏は述べている。「自己完結型であるからこそ成果に責任を感じるし、成果に対してチームが責任を感じることこそが、アジャイル開発の魔法の本質だ」
では、大企業がスタートアップやインターネット企業と比べて、アジャイルの導入に苦労している理由は何だろうか。まず、スタートアップにはレガシーシステムも複雑な業務プロセスも存在しない。「スタートアップはアプリケーションアーキテクチャに関する負の遺産を持っていない。巨大で手を加えるのが難しいアプリケーションは存在しない」とSpeksnijder氏は言う。「スタートアップでは一般に、あらゆるものがマイクロサービスやAPIを用いてモジュール的な形で定義されている。このため、アプリケーションアーキテクチャ中の特定のコンポーネントに対する変更も容易に行える。それらの機能のテストやリリースも短期間に行うことが可能で、アプリケーションの他の部分に対する依存性を気にする必要もない」(Speksnijder氏)
問題は、アジャイルを大企業の規模に合わせることができていないことだ。アジャイル開発の取り組みは小さなチームでは成功するが、企業のさまざまな部門(特にITに関わらない部門)が関わってくると、連携は難しくなる。Speksnijder氏はアジャイル開発は「IT部門の領域の外に出る」と困難さが増し、その場合「企業全体を巻き込んで、全体としてアジャイルな組織になる必要がある」と述べ、さらに「最大の障害は組織構造に関する問題であり、それが解決されたら、次はどう人材を確保するかが課題になる。それができれば、大規模な組織も素早さを獲得できる」と付け加えた。